鎌田大地とラツィオに何が起きたのか ガゼッタ紙記者が伝える「破談」の舞台裏
突然のUターン、それとも急旋回とでも言おうか。鎌田大地の代理人たちによる土壇場での要求に、ラツィオの幹部たちは思わず椅子を蹴り、こう言った。
「言っている意味がわかっているのか? こんなことは受け入れられない。もう好きにしたらいい」
鎌田は契約が満了する6月30日にラツィオを去ることになるだろう。ここ数日、イタリアでは、「鎌田はラツィオに残留したいという鉄の意志を持っている」と報道され続けてきたが、実際にはそれとは真逆の方向に物事は進んだ。ラツィオのプレーとの相性を取り戻し、イゴール・トゥドール監督との関係もこれ以上ないほど良好であったにもかかわらず、鎌田はローマを去ることになった。
鎌田の代理人であるロベルト佃とマヌエル・フェレールがラツィオの本部フォルメッロを訪れ、鎌田の契約更新について話し合ったのは、つい数日前の話だった。以前から言われていたとおり、3年契約の年俸300万ユーロ(約5億1000万円)、ただイタリアに限らず、契約期間中に移籍する場合には約2000万ユーロ(約34億円)、あるいはそれより多少、少ない金額の解除金が必要という内容で、両者は合意に至っていた。少なくともラツィオはそれですべては決着したと思っていた。
しかしこの解除金の額が紛争の元となった。サインをする直前になって、鎌田の代理人たちはこの2000万ユーロという金額を、それよりかなり低い額(少なくともラツィオ側はそう感じた)に変更してほしいと言いだしたのだ。そして2日間、ほぼノンストップで交渉が行なわれ、ラツィオはかなり譲歩もしたというが、結局このドラマは関係断絶という形で幕を閉じた。
1シーズンでラツィオを去ることが決定的となった鎌田大地photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る 鎌田はフリーでラツィオを去り、プレミアリーグに行くことになるだろう。クリスタルパレス。彼らが鎌田と契約を結ぶ日は近い。そこにはオリバー・グラスナーがいる。彼のことをよく知り、中盤のインサイドとしても、ファンタジスタとしても、彼を高く評価した最初の監督だ。ふたりは今年創設120周年を迎えるクラブのホームスタジアム、セルハースト・パークで再会するのだろう。
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