長谷部誠、感極まってラストマッチで涙 「今というタイミングが、みんなにとってハッピー」 (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【移籍はまったく考えていなかった】

「今日まで感情的になることは全然なかった。この年齢までやれて、だいぶ時間をかけてサッカー選手をやめるっていう準備もできていたので。だから今日が近づいてきても、特に感情的になることはなかったんですけど、終わって子どもが寄ってきた時はさすがに......それだけでちょっと......感極まってしまいました」

 ふたりが母親のもとに戻ったあとも、長谷部は顔を上げず、しばらくの間、涙を流した。ようやく顔を上げた時には、泣き顔はなく、ふだんの表情に限りなく近かった。

さすがの長谷部誠も涙を抑えることができなかった photo by Watanabe Kojiさすがの長谷部誠も涙を抑えることができなかった photo by Watanabe Kojiこの記事に関連する写真を見る「自分にとって、家族はとても大きな存在だった。それが思ったよりも、感情が出たっていうのが、恥ずかしながら」

 恥ずかしながら、と振り返るあたりが、やはり長谷部らしい。

 前日の岡崎やこの日一緒に引退したローデと長谷部が違うのは、大きな負傷を抱えて引退するわけではないということ。時折出場した際に魅せるプレーは、今でもトップレベルで通用する。まだまだできるように見える。仮にトップメラー監督の構想と合わないのであれば、よそに活躍の場を求めようとは考えなかったのか。

「そうですね、もちろんそういうことを考えなかったかって言われると、考えなくはなかったです。だけど、そういうオファーが大前提にあっての話だと思うし。次のステップに進みたい、進むべきかなっていう。

 まあ、そういうときはね、いつか来るんで。もちろんドイツ国内で(移籍)っていうのはまったく考えてなかったんですけど、国を変えて(ドイツ以外で)プレーするというのは、ほとんど想像してなかった」

 ということは、プレーができなくなってフェイドアウトするのではなく、自ら引退を選択できるうちに決断したいと考えていたのか?

「まあでも、クラブからはこれから先もずっと(プレーしても引退してもいい)と言われていたので。2027年(までの契約があるが、それまでという意味ではなくいつでも)というのではなく、毎年毎年という感じだったので、いつかは自分で(決めなくてはならない)。

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