パリ五輪出場全チームを解剖 アンリのフランスはエムバペの出場をあきらめていない (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【若手選手の宝庫スペイン】

 一方、ウクライナは元同国代表選手のルスラン・ロタンが率いる。五輪予選にあたる昨年のU-21ヨーロッパ選手権で3位につけたのは彼の手腕だ。ウクライナの五輪サッカー出場はこれが初。ドイツやイタリアなど並みいる強豪を抑えて出場権を手に入れたのは快挙だ。彼らは準々決勝でフランスにも3-1で勝利している。

 ウクライナは戦火のなかにあり、U-23代表選手たちの同世代は、ほぼみんなが兵役中だ。別な形で国を代表して戦うことに、彼らは強い気持ちを持っている。FWミハイロ・ムドリク(チェルシー)やMFヘオルヒー・スダコフ(シャフタール・ドネツク)、GKアナトリー・トルビン(ベンフィカ)など、すでにフル代表入りしている選手もいる。FWのミコラ・クハレビッチ(スウォンジー)もチームの要だ。

 4グループのなかで、比較的、予想がしやすいのはグループCだろう。スペインの1位抜けはほぼ確定だ。

 予選にあたるU-21ヨーロッパ選手権では準優勝、チームを率いるサンティ・デニア監督はアトレティコ・マドリードでキャプテンも務めた元スペイン代表選手だ。2010年よりU-17、U-19、U-21とアンダー世代の代表を率い、U-17とU-19ではチームを優勝させた実績がある。同国サッカー関係者の信頼は厚く、今後スペインを代表する監督になると言われている。

 スペインの強みは、OAを頼らなくてもいいほど優秀な若手が多くいることだ。昨年のU-21欧州選手権で得点王に輝いたマンチェスター・シティのセルヒオ・ゴメス、バルセロナが10億ユーロ(約1650億円)の契約解除金をかけている16歳のラミン・ヤマル、また同じくバルサの17歳のDFパウ・クバルシ、19歳のMFガビ、東京五輪に出場したMFペドリもいまだチームにいる。その他にも、ブライトンのアンス・ファティ、ビルバオのニコ・ウィリアムス、躍進中のジローナのアルナウ・マルティネスなど、すべて挙げたらきりがないほどだ。

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