パリ五輪出場全チームを解剖 アンリのフランスはエムバペの出場をあきらめていない (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【メッシ出場を狙うアルゼンチン】

 なかなかの激戦区となったのがグループBだ。

 アルゼンチンもモチベーションは高いだろう。フランスのアンリ同様、ハビエル・マスチェラーノ(元バルセロナほか)という自国の元スター選手を監督に据えたところもフランスと似ている。

 マスチェラーノがトップにいることは重要だ。なぜならOAにリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)を呼びやすくなるからだ。メッシはあまりパリにいい思い出がないだろうが、友人の頼みとなれば、聞かないわけにはいかない。もしメッシがオリンピックで活躍すれば、アルゼンチンはライバル、フランスのメンツを潰すことができる。

 残りのOA候補にも、アンヘル・ディ・マリア、ニコラス・オタメンディ(ともにベンフィカ)、ロドリゴ・デ・パウル(アトレティコ・マドリード)、GKエミリアーノ・マルティネス(アストン・ビラ)と豪華な名が並ぶ。特にマルティネスは「自分に足りないのはオリンピックのメダル」と意欲を燃やしている。

 もちろんアルゼンチンには若い才能もいる。レアル・マドリード・カスティージャのニコ・パス、アヤックスのガストン・アビラ。なかでもフェルナンド・レドンド(元レアル・マドリードほか)の息子フェデリコ・レドンドはインテル・マイアミでメッシとともにプレーしており、これもまたメッシを呼びやすい環境にしている。

 同組のモロッコも、決してフランスに遊びに行くわけではない。W杯で世界のトップ4に入ったことは、U-23の選手たちも「大きく勇気づけている」と、監督のイサメ・チャライは述べている。アクラフ・ハキミ(PSG)やヤシン・ブヌ(アル・ヒラル)などがOAとして入る可能性もある。U-23の選手にも、アトレティコ・マドリードのアブデ・ライハニ、ベティスのアブデ・エザルズリ、チャディ・リアドなど、ヨーロッパのトップクラブに所属する選手たちがいる。

 イラクは歴史的に侮れないチームだ。ラディ・シェナイシル監督は元イラク代表選手で、世界のサッカーをよく知っている。注目選手は現在スウェーデンのハンマルビーに所属するMFモンタデル・マジェド。スウェーデン生まれで、16歳にしてスウェーデン1部リーグにデビュー、U-19までスウェーデン代表としてプレーしていたが、その後、イラクのフル代表となった。もうひとりはイングランド生まれのMFジダン・イクバル。現在はユトレヒトでプレーするが、少年の頃からマンチェスター・ユナイテッドで育った。

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