レアル・マドリード番記者が久保建英について言及「来季レアルでプレーする可能性は極めて低い」 (2ページ目)

  • ミゲル・アンヘル・ディアス●文 text by Miguel Ángel Díaz

【レアル・ソシエダは久保にとって完璧なクラブ】

 久保にとって概ねいい試合だったと思うが、来季レアル・マドリードでプレーする可能性は極めて低いだろう。クラブ内では今、レアル・ソシエダが将来、放出を検討した時のオプションのひとつと考えられているだけだ。

 また、レアル・マドリードが保持するキャピタルゲインの50%を受け取るという権利に関して、レアル・ソシエダが今年1月に久保と2029年まで契約を延長した際に、同期間まで延長されることで合意されている。一方、先買権の有効期限が今夏までというのは変わらない。いずれにしても、契約解除金が6000万ユーロ(約100億円)に設定されていることを考えると、大きな取引となるだろう。

 レアル・マドリードが久保を評価していないわけではないだろうが、今のところ攻撃陣の戦力は十分整っていると判断している。もっと言えば、彼に適したポジションは"オーバーブッキング"となっている。

 ロドリゴ、フェデリコ・バルベルデ、ブラヒム・ディアス、そしてレアル・ソシエダ戦で先発したアルダ・ギュレルなど、右サイドでプレーできる選手は枚挙にいとまがない。

 ポジション争いは熾烈を極めるため、レアル・ソシエダで彼が今得ている文句なしのレギュラーというステータスは、レアル・マドリードに加入した場合、ほど遠いものになるだろう。そもそも、パリ・サンジェルマンのフランス代表FWキリアン・エムバペの加入により、ブラジル代表でレギュラーを張るロドリゴでさえスタメンでいられる保証はない。

 一方で、これまで問題だと言われてきたEU圏外の選手であることは、少なくとも今夏は不利に働くことはない。なぜならレアル・マドリードでは現在、その状況の選手がいないからだ。ジュード・ベリンガムはすでにアイルランドとの二重国籍を取得し、ヴィニシウス・ジュニオール、エデル・ミリトン、ロドリゴもスペインのパスポートを入手済みだ。つまり、来季に向けて現時点では、7月に18歳の誕生日を迎え、パルメイラスからやって来るエンドリッキだけがEU圏外の選手ということになる。

 もし私が久保の立場ならば、今の状況に落ちついていられるだろう。なぜなら彼はレアル・マドリードから離れていても幸せになれることを証明しているし、スターにだってなれる資質があるからだ。

 それでも、いつの日かレアル・マドリードに戻るという選択肢が浮上したなら、一生に一度しか通過しないその列車に乗るチャンスを生かす必要がある。そして、彼はきっと戻るという選択肢を選ぶはずだ。

 今やレアル・ソシエダは、久保にとって完璧なクラブだ。彼のプレーは見る者を楽しませ、彼の存在はラ・レアルが欧州カップ戦の常連になれると感じさせてくれる。

 しかし、久保がこのふたつを選ばないのであれば、次の選択肢はプレミアリーグのビッグクラブでプレーすることになるかもしれない。イマノル監督はレアル・マドリード戦後、リバプールの久保への興味について質問されると、「タケはラ・レアルの選手であり、ここに残りたがっている」と返答し、サポーターを安心させていた。

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