遠藤航が就いた日本人サッカー選手史上の最高位 リバプールだから可能だった出世劇 (4ページ目)
移籍した直後、プレミアリーグでは出場機会に恵まれていなかった遠藤が、ELでは先発を飾った理由である。リバプールはELをカップ戦要員で戦ったのである。そのグループステージでリバプールは首位通過を果たしたものの、2敗している。2敗する余裕があったと言うべきだろう。
サン・ジロワーズ戦とトゥールーズ戦で、遠藤は前半の45分でピッチをあとにしたと述べたが、その不出来に目をつぶる余裕がリバプールにはあった。遠藤はELでも育てられることになったのだ。遠藤の株が上がり始めたのはELのグループリーグ終了後だった。
実際、遠藤のプレーには変化が起きている。うまくなっているのだ。前方につけるパスだけでなく、創造性の高いひねりの利いたしゃれたパスを送るシーンが目につくようになっている。いまやデュエル王で片づけるわけにはいかなくなっている。
もちろんELも、これから始まる準々決勝以降のトーナメントは厳しい戦いが予想される。それにプレミアの優勝争いが絡む。遠藤にとっては正念場である。
CL出場が確実視される来季しかり。欧州リーグランク1位のプレミアリーグと欧州最高峰リーグのCL。このふたつのコンペティションで、コンスタントにスタメンを飾ることができれば立派なものだ。この山を乗り越えると、選手としてさらにひと皮剥けることになる。
日本人ナンバーワン選手として別次元を行く偉大な選手になれる。本当の勝負はこれからの1年余り。筆者はそう見ている。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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