久保建英の移籍話も再燃か レアル・ソシエダの不振に地元スペイン人記者「主力全員を来季チームに留めるのは至難の業」 (4ページ目)
【チームが今後やるべきこと】
パリ・サンジェルマン戦後にマルティン・スビメンディが語ったように、ラ・レアルはマジョルカにPK戦で敗れて国王杯決勝に進むことができず、CLも敗退し、わずか1週間で今シーズンの大きな目標を2つ失ってしまった。
このようなチームの低迷を受け、クラブの財政部門は今、今季最大の目標である欧州カップ戦の出場権獲得が危うい状況にあるのを感じているはずだ。もしそれが達成された場合、クラブ史上初となる5季連続での欧州カップ戦参加が決定する。
これはヨーロッパのコンペティションを戦うことで継続的に収入を得るという条件で選手たちの給与水準を引き上げているラ・レアルにとって、その経済力を維持するために必要不可欠な要素である。
また財政面だけでなく、チームの戦力を維持することも重要だ。ラ・レアルのサポーターは今夏、スビメンディ、ミケル・メリーノ、ロビン・ル・ノルマン、そして久保が、ビッグクラブから断りきれないほどのビッグオファーを受けることを恐れている。
ラ・レアルのプロジェクトの安定性、サン・セバスティアンでの平穏な生活、サポーターとのつながりは、彼らに残留を促す大きな材料だ。
しかし、すでに欧州レベルで地位を確立しているこれらの選手たちが、大観衆の前でヨーロッパのコンペティションをプレーするという刺激を得られなくなった場合、これらの残留を促す材料すべてが大きな重みを失うことになる。
また、ヨーロッパリーグに参加するか、多くのサッカーファンからマイナーな大会と見なされているカンファレンスリーグに参加することでも状況は変わってくるだろうが、いずれにせよ、彼ら全員を来季ラ・レアルに留めるというのはおそらく至難の業だ。
久保は先日、2029年までの契約延長を終えたばかりのため、少なくともあと1シーズンはサン・セバスティアンで過ごすべきだと思うが、移籍市場ではどんなことも起こり得る......。
これらの理由から、ラ・レアルはできるだけ早く気持ちを切り替えて今の悪い流れを変え、唯一残されたラ・リーガで着実に勝ち点3を積み重ねていく必要がある。今季をいいものとするか、それとも大きな失望とするかは残り11試合に懸かっている。
シーズン終盤にスペインサッカー界屈指の強豪たち(レアル・マドリード、バルセロナ、アトレチコ・マドリード)との対戦を控えているため、それを成し遂げるのは容易ではないだろう。
しかし、ラ・レアルの選手たちはこれまで、そのようなチームと渡り合えることを存分に示してきた。だからこそサン・セバスティアンでは皆、クラブが掲げる目標が達成されると信じて疑わないのだ。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)
著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。
【画像】レアル・ソシエダの最新主要フォーメーション
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