遠藤航がELフル出場で見せた確固たる地位 ひと皮むけてリバプールの大勝に貢献
チャンピオンズリーグ(CL)に続き、ヨーロッパリーグ(EL)も決勝トーナメント1回戦がスタートした。CLでは勝ち残っているチームのなかに日本人選手はアーセナルの冨安健洋ただひとり。その冨安も故障中でベンチから外れているので、EL勢にかかる期待はおのずと高まる。リバプールの遠藤航、スポルティングの守田英正、フライブルクの堂安律、ブライトンの三笘薫と、ベスト8入りの可能性を残すのは4人。負傷のため今季絶望と報じられる三笘を除けば3人になる。
初戦の結果は以下のとおりとなった。
○スポルティング1-1アタランタ
○スパルタスパルタ・プラハ1-5リバプール
ローマ4-0ブライトン
カラバフ2-2レバークーゼン
マルセイユ4-0ビジャレアル
ベンフィカ2-2レンジャーズ
○フライブルク1-01-0ウェストハム
ミラン4-2スラビア・プラハ
(左側がホーム、○は日本人選手の出場試合)
三笘を除く3選手はすべてスタメン出場を果たした。遠藤がフルタイム。守田が84分、堂安が82分の出場だった。
遠藤所属のリバプールはアウェーでスパルタ・プラハと対戦。結果はリバプールの大勝に終わったが、内容的には2-3ぐらいでもおかしくない白熱した試合だった。CLのラウンド16でマンチェスター・シティと対戦したコペンハーゲンがそうだったように、周辺国のレベルが上昇していることがその理由として挙げられる。
下馬評でリバプールに次ぐ優勝候補2番手に挙げられているレバークーゼンと対戦し、ホームで引き分けたカラバフ(アゼルバイジャン)しかり。神戸、浦和、横浜FMといったJリーグの上位クラブがそこまでやれるかといえば、難しいだろう。欧州のレベルアップを痛感させる事象と言える。
リバプールがこの試合にメンバーを落として臨んだことも輪をかけた。今週末にプレミアの首位攻防戦、マンチェスター・シティ戦を控えているためだが、そんななかで遠藤は先発した。
スパルタ・プラハ戦にフル出場、大勝に貢献した遠藤航(リバプール)photo by ProSports Images/AFLOこの記事に関連する写真を見る アジアカップ後、クラブに戻ってから調子を崩す日本代表選手が目立つが、遠藤は別だ。充実ぶりが目に留まる。先週末のプレミアリーグ、ノッティンガム・フォレスト戦こそ、先発をジョー・ゴメス(イングランド代表)に譲ったが、アジアカップ後、チームに復帰してからそこまでは全試合でスタメンフル出場を飾っていた。ローテーションが浸透している今日のビッグクラブにおいては珍しい話だ。
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著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。