遠藤航がELフル出場で見せた確固たる地位 ひと皮むけてリバプールの大勝に貢献 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【ひと皮むけた印象の遠藤】

 12月中旬まで、遠藤は危うい立場にいた。ELのグループリーグ、ユニオン・サンジロワーズに1-2で敗れた一戦では、前半で交代の憂き目に遭っている。危険な場所でボールを奪われピンチを招くなど、不安定さを露呈させていた。この先、リバプールでやっていけるのか。アジアカップに出場している間に居場所はなくなっているのではないかと危惧された。それがまるで嘘だったかのように、今では確固たる立ち位置をチームで築いている。

 この間、選手として貴重な経験を積んだ遠藤。その結果、選手としてひと皮むけた印象だ。ステイタスを高めている。

 リバプールは現在プレミアの首位だ。欧州クラブランキングでは5位にランクされる。その中心選手を務めるとなれば、日本人選手として最高位に就いたことを意味する。日本代表キャプテンのステイタスを高めたことにもなる。

 スパルタ・プラハ戦では勝利が揺るぎないものとなった終盤、リバプールベンチは大事を取って遠藤を下げるかと思った。いちおう31歳のベテランである。マンチェスター・シティとの大一番に備え、休ませるという選択もあったはずだ。ところがユルゲン・クロップ監督は、遠藤を最後までピッチに立たせた。不動の選手としての自覚を求めるかのようだった。

 堂安は4-4-2の右サイドハーフとしてウェストハム戦に臨んだ。プレーオフでは5バックのウイングバックとしてプレーしたが、この日はそれより平均ポジションにして20メートルほど高い位置で構えた。

 攻撃に絡む機会はその分だけ多かった。フライブルクは現在ブンデスリーガで9位のチームだが、そのクラスの右ウイングとしては悪いプレーではなかった。6.5~7と評価したいところだが、欧州で上位を狙うクラブという視点に立つと物足りなく映った。

 ほしいのは躍動感だ。後半19分、ハーフウェイラインを超えたあたりでMFマキシミリアン・エッゲシュタイン(元U-21ドイツ代表)から横パスを受けると、対峙する相手の左SBエメルソン・パルミエリ(イタリア代表)を細かなステップで巧みにかわしライン際に進出した。

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