久保建英の活躍を支えるレアル・ソシエダの「久保システム」 グアルディオラもやっていた相手を欺く戦術 (4ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●文 Unai Valverde Ricón

【相手を欺く戦術】

 ラ・レアルのプレースタイルは、個々の才能の融合、ポジショナルプレー、そして絶え間ない動きをベースとした連携プレーが特徴だが、縦に素早く仕掛けることもある。

 このチームで久保は、14年前にペップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)がバルセロナで6冠を成し遂げた史上最高のチームがやっていた、ウイングはボールが逆サイドにある時、中に絞るのではなく遠くで待つことでチームに貢献するという動きを実践している。

 グアルディオラは当時、ティエリ・アンリ(フランス/アーセナル、バルセロナほかFWで活躍)のようなスター選手に対して、ボールが反対側にある時、サイドに大きく開いていれば、違いを生み出すことができるという説得に成功していた。そして今、ラ・レアルでその役割を果たしているのが久保である。

 ラ・レアルは中盤にタレントが揃っているため、左サイドに多くの選手を引き寄せることができ、逆サイドの相手ディフェンスがサイドバック(SB)ひとりのみという脆弱な状態になった瞬間を見計らい、2、3タッチのきれいなパス回しで久保にボールを届け、有利な局面を作り出している。

 ラ・レアルは今季、このような形で、特に得点面で飛躍的なレベルアップを遂げている。イマノルは先日の記者会見で「タケは右サイドに張りついてプレーしているが、それは我々の指示によるものだ。彼はそこから多くのことでチームに貢献している。もっとインサイドでプレーしなければいけない時もある」と説明していた。

 これは、左サイドで集中的にプレーすることで、右サイドにいる久保の存在を忘れさせ、最終的に久保にパスを回して試合を決めさせるという、ラ・レアルの相手を欺くすばらしい戦術である。

 久保はペナルティーエリア手前でボールを受けて相手SBと対峙する時もあれば、逆サイドからのマイナスのパスでダイレクトシュートを放つこともある。インサイドに走り込む判断力はすばらしく、そのタイミングはすでに完璧だ。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)

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プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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