久保建英の活躍を支えるレアル・ソシエダの「久保システム」 グアルディオラもやっていた相手を欺く戦術 (2ページ目)
【監督の巧みな起用で進化】
久保のレベルが今季大幅に上昇している理由については、いくつかの形で説明できる。
その要因として、まず自身の成長を止めることなく支えているその強靭なメンタリティーが挙げられる。ラ・レアルで誰よりも目立つ活躍を見せ、レアル・マドリードが来季に向けて再契約を望んでいるという噂が出ているにもかかわらず、浮かれず謙虚な姿勢で全力で仕事に取り組んでいるのだ。
そして、サッカー面での飛躍的なレベルアップは、イマノル抜きには語ることができない。その存在は間違いなく久保にとって、生涯を通じて非常に重要なものとなるだろう。それはイマノルがキャリアで困難な状況に直面し、消えていく可能性もあった将来有望な若手選手の潜在能力のすべてを引き出すことに成功したためである。
イマノルは久保が加入した昨季、エースのミケル・オヤルサバルの負傷でその前年に考案したシステムを継続させ、ダビド・シルバを中心に据えた。そして久保を理想的なポジションであるトップ下やウイングで起用せず、誰もが予想しなかったアレクサンデル・セルロートと前線で組ませ、チームはさらなる進化を遂げたのだ。
このふたりはクラブの歴史に残る名FWコンビ(2002-03シーズンのダルコ・コヴァチェヴィッチとニハト・カフベジ)に匹敵し、さらには昨季のラ・リーガ全体においても卓越したコンビとなった。彼らはダビド・シルバを後ろ盾にお互いを完璧に補い合い、久保は誰よりも多くのスペースを見つけることで結果を出した。
シルバ(引退)とセルロート(現ビジャレアル)を失ったイマノルは今季、昨季途中に変更して久保を右ウイングに配置した4-3-3を再び採用し、予想以上の成果を上げている。久保は昨季以上に数字を増やし、チームに多大な影響力を与えている。
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