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三笘薫の貢献度はさらにアップ 陣容が変わったブライトンで見せた昨季以上の存在感 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

【シュートよりパスを選択するシーンも】

 激しい上下運動を余儀なくされて疲れてしまったのか、カボレは後半19分にベンチに下がった。代わって三笘と対峙したのはアルフィ・ドーティーで、三笘がその23歳のイングランド人ウイングバックを手玉にとったのは後半24分だった。

 最終ラインのルイス・ダンクからパスを受け、ドーティーを前にした三笘は、右足の裏を使い、ボールを前後に移動。幻惑され立ち尽くすドーティーをよそに、脇を走ったジョアン・ペドロの鼻先に、差し込むようなパスを送った。主審がPKの判定を下したのは次の瞬間だった。ウェールズ人のCBトム・ロッキャーが侵入してきたジョアン・ペドロを押さえ込み倒してしまったのだ。

 三笘は先制点と追加点にラストパッサーとして絡む活躍だった。一方で、よくも悪くも三笘らしいプレーも2度、3度とあった。自らシュートを打てたにもかかわらず、パスを選択したシーンだ。今シーズン、この人がいいというか、奥ゆかしいプレーをどれだけ減らせるか。得点数はそれに比例するはずである。

 ブライトンでその他に目立ったのは、交代出場し4点目をマークしたエヴァン・ファーガソンだ。わずか十数分間のプレー時間だったが、昨季より伸びていることは明白だった。18歳のアイルランド人ストライカーが、今季どこまで化けるか。ブライトンの躍進には欠かせない選手と見る。

 三笘は結局、アタッカー陣のなかでただひとり、フルタイム出場を果たした。これは昨季から続く傾向でもあるが、ブライトンがチャンピオンズリーグ出場権を狙うなら、三笘と同程度の力を持つ左ウイングがもう一枚ほしい。三笘の出場時間が増えることは、日本人には喜ばしいことだが、大局的に見れば出場過多だ。使い詰めになることが心配される。1シーズン、無事に乗りきってほしいものである。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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