久保建英のレアル・ソシエダ新シーズン始動 陣容の変化は最小限でも不安要素は少ない (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【現状維持のなかで懸案はひとつ】

 やや手薄だった右サイドバックは、レンヌからマリ代表のアマリ・トラオレを2年契約(1年延長オプション)、移籍金なしで獲得している。レアル・マドリードのアルバロ・オドリオソラを買い戻すのもひとつのオプションとして残すが、契約満了での移籍が条件になるだろう。昨シーズンはケガ人が多く、本来はアタッカーのアンデル・バレネチェアが緊急的にプレーしていた。だがそれもアンドニ・ゴロサベルかアレックス・ソラがフィットすれば十分だ。

 懸案はひとつだけだろう。ノルウェー代表ストライカー、セルロートをパス所有先のドイツ・ライプツィヒから買い取れるか。

 昨シーズンのセルロートは、不調に喘ぐ時期もあったものの、エースFWとして攻撃を牽引した。チーム最多の12得点を記録。長身を生かしたプレーだけでなく、左利きで細かい技術に特徴はあり、他の左利きアタッカーとの連係も良かった。サディクはケガから復活する予定だし、カルロス・フェルナンデスも貴重なFWだが、セルロートはファーストオプションだけに、手放したくないはずだ。

 他のポジションでは、D・シルバのバックアッパーとして、フランス代表のエンソ・ル・フェー、日本代表の鎌田大地に触手を伸ばしたとも言われる。しかし、それこそ久保やオヤルサバルが代役を務められるだろう。プレシーズン次第だが、昨シーズンの主力が今シーズンも主力になるに違いない。

 そもそも、ラ・レアルはスタートリストの半分以上が下部組織スビエタ出身者。「サンセ」の異名を取るBチームから引き上げることで、十分にこと足りる。

 ジョン・パチェコ、バレネチェア、ロベルト・ナバーロの3人はポテンシャルだけで言えば1部のどのクラブでも通用する。一昨シーズンはシャビ・アロンソ監督のもと、リーガ2部で戦い、昨シーズンも2部昇格プレーオフを戦ったサンセの若手選手は引く手あまただ。MFベニャト・トゥリエンテス、DFウルコ・ゴンサレスはアラベス、MFジョン・アンデル・オラサガスティ、ジョン・マグナセライアはエイバルからのオファーを受けている。さらにFWジョン・カリカブルは昨シーズン、レガネスへのレンタルでプレーしたが、正統派のストライカーで"人気商品"だ。

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