久保建英のレアル・ソシエダ新シーズン始動 陣容の変化は最小限でも不安要素は少ない
久保建英を擁するレアル・ソシエダの2023-24シーズンが始まる。念願のチャンピオンズリーグにも出場する今季、どのようにして新しいシーズンに挑むのか?
レアル・ソシエダ(ラ・レアル)は7月10日に選手が合流、2023-24シーズンに向けたプレシーズンが始まる。GKアレックス・レミーロはすでに休暇をきり上げ、練習場で体を動かしている。他にもケガから復帰のナイジェリア代表FWウマル・サディクや若手選手たちがフィジカルトレーナーの指導を受けている。
派手な選手補強はない。しかし、久しぶりのチャンピオンズリーグ(CL)を舞台にした戦いへ、順風満帆だ。
昨シーズン、ラ・レアルはイマノル・アルグアシル監督に率いられ、FCバルセロナ、レアル・マドリード、アトレティコ・マドリード、マンチェスター・ユナイテッドなどのビッグクラブを相手に、互角以上の戦いで下した。ダビド・シルバを筆頭に久保、ブライス・メンデス、ミケル・メリーノ、アレクサンダー・セルロート、ミケル・オヤルサバル、モハメド・アリ・ショなど左利き選手たちを多く用いた攻撃的サッカーは、大げさでなくセンセーショナルだった。そのうえで4位に躍進し、CL出場権をつかみ取ったのだ。
何かに手が届きそうなチームを替える必要はない。
「現状維持」
クラブの戦略基本はそうなるだろう。
チャンピオンズリーグ出場権獲得を喜ぶ久保建英らレアル・ソシエダの選手たちこの記事に関連する写真を見る 選手の年齢バランスも悪くはない。37歳になるD・シルバのようなベテランがチームを引っ張る。主将オヤルサバルやスペイン代表入りしたロビン・ル・ノルマンなど、26歳前後の中堅が一番多いが、久保やマルティン・スビメンディなど20代前半の選手も少なくない陣容だ。
彼らは有力クラブからのオファーが懸念されたが、杞憂に終わりそうだ。スビメンディはバルセロナから、久保はナポリ、さらにはサウジアラビアのクラブから移籍金240億円を提示されたという。しかし、ふたりともオファーを一顧だにしていない。チームの強化方針と戦い方がうまくいっている証左で、一枚岩だ。
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プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。