バルセロナ対レアル・マドリードの注目ポイント 前回のクラシコはバルサが守り倒して勝利 勝てばリーガ優勝ほぼ確実の一戦でどう出るか (2ページ目)

  • 高橋智行●文 text by Takahashi Tomoyuki
  • photo by Getty Images

【ヴィニシウスvsアラウホがカギに】

 この成功のキーマンはGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンにほかならない。もちろんDF陣のパフォーマンスもすばらしいが、シュートをあまり打たれていないわけではない。たとえばここ3試合で10本のシュートを枠に飛ばされているが、奇跡的なセーブを連発してわずか1失点に抑えているテア・シュテーゲンの存在が、バルセロナの強固な守備の大きな要因と言えるだろう。

 また今回のクラシコではロナルド・アラウホのパフォーマンスが非常に重要となる。なぜならこの試合で1番の見どころとなるヴィニシウスとのマッチアップの行方が、勝敗に大きな影響を与えるからだ。出場した過去3回のクラシコでヴィニシウス対策として右サイドバック(SB)に起用され、世界最高峰のサイドアタッカーの無効化に成功し、そのすべてでバルセロナが勝利している。そのため今回もその役割を求められることになるだろう。

 一方、攻撃面にはいくつか懸念材料がある。それはケガや出場停止の影響もあり、リーガ得点王のレバンドフスキの決定力に陰りが見えていること、バックアップを務めるフェラン・トーレスやアンス・ファティがうまく機能していないことだ。またウスマン・デンベレとペドリの主力2人の欠場が決定的になっている。しかし、ラフィーニャが右サイドで存在感を発揮し、デンベレの穴を十分に埋めていることは朗報だろう。

 対するレアル・マドリードはシーズン開幕から公式戦9連勝、16試合連続無敗と絶好調だったが、徐々に調子が落ちていった。そしてカタールW杯後、ルカ・モドリッチやフェデリコ・バルベルデ、オーレリアン・チュアメニ、アントニオ・リュディガーなどのコンディションやパフォーマンスが低下したことに加え、クラブワールドカップなど2カ月間で4大会に参加して3.5日ごとに1試合というハードな日程を過ごしたことで躓きが目立つもようになり、チーム危機が囁かれた時期もあった。

 また、昨季3大会で得点王に輝き、昨年10月にバロンドールを初受賞したカリム・ベンゼマがシーズンを通じて頻繁に欠場していること、そしてヴィニシウスがアウェーで人種差別的な侮辱を受け続け、ドリブルが警戒されて欧州5大リーグで最もファールを受けている選手となり、本来の力を度々発揮できないことが大きく影響し、チームは得点力不足に陥っていた。

 一方でポジティブな面もあった。それは、今季ずっと控えに甘んじていたナチョ・フェルナンデスやダニ・セバージョス、マルコ・アセンシオなどがレギュラー組に匹敵するすばらしいパフォーマンスを発揮し、来季のトップチーム昇格が確定している18歳のU-20ウルグアイ代表FWアルバロ・ロドリゲスが頭角を現したことだ。

 またカルロ・アンチェロッティ監督が今季最も成長した選手と認めるエドゥアルド・カマビンガが中盤に加え、左SBでもプレーできることも収穫となっている。最近になりようやく調子を落としていた選手たちが復調の兆しを見せ始めているが、現在2連敗中のバルセロナに勝つためには、ヴィニシウスがアラウホとのデュエルに勝利し、エースのベンゼマが完全復活を遂げることが必須となる。

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