バルセロナ対レアル・マドリードの注目ポイント 前回のクラシコはバルサが守り倒して勝利 勝てばリーガ優勝ほぼ確実の一戦でどう出るか
【ネグレイラ事件が大きな話題に】
3月19日のリーガ・エスパニョーラ第26節で、今季4度目となるクラシコがカンプ・ノウで開催される。バルセロナが首位、レアル・マドリードが2位につけており、この勝敗が優勝の行方を大きく左右するにもかかわらず、今回はピッチ外の出来事に大きな関心が集まっている。
それはスペインサッカー界で今一番の話題となっている "ネグレイラ事件"だ。バルセロナが審判技術委員会の副会長を務めていたホセ・マリア・エンリケス・ネグレイラ氏とその息子が保有していた会社に、2001年から2018年の17年間にコンサルタント料の名目で約700万ユーロ(約10億1500万円)もの金銭を払ったことで審判買収疑惑が浮上。現在、スペイン検察庁がバルセロナおよび当時の会長や幹部を起訴して大スキャンダルへと発展している。
クラシコで攻撃のキーマンになるバルセロナのレバンドフスキ(左)とレアル・マドリードのヴィニシウス(右)この記事に関連する写真を見る この事件に大きな関心が集まるなか、両チームは通算253回目となる公式戦のクラシコを迎える。過去の対戦成績はバルセロナ99勝、レアル・マドリード101勝、引き分けが52回と非常に拮抗した状況にある。
今季最初の対戦となった昨年10月のリーガでは、レアル・マドリードが3-1で勝利。一方、今年1月のスペイン・スーパーカップ決勝では、バルセロナが今季最高の内容で3-1の勝利を挙げ、シャビ・エルナンデス監督が初タイトルを獲得。さらに今月2日の国王杯準決勝第1戦にも1-0で勝利している。
クラシコ2連勝中のバルセロナは昨夏、1億5000万ユーロ(約217億5000万円)を超える大金を投資し、ロベルト・レバンドフスキ、アンドレアス・クリステンセン、ラフィーニャ、ジュール・クンデなどの大型補強を敢行してシーズンをスタートした。リーガではレバンドフスキがゴールを量産して安定した強さを発揮したが、欧州の大会では全く別の顔を見せていることから"ジキルとハイド"とも形容されていた。
チャンピオンズリーグ(CL)ではDF陣にケガ人が続出したことが大きく影響し、グループリーグで早々に敗退。続くヨーロッパリーグ(EL)プレーオフでもマンチェスター・ユナイテッドに敗れ、2季連続で大失態を犯した。この2大会8試合の総失点は16(CL:12失点、EL:4失点)と守備に大きな問題があった。
一方、リーガではここまでの25試合中19試合でクリーンシート達成し、わずか8失点と、守備面において驚異のパフォーマンスを発揮している。欧州5大リーグ(スペイン、イングランド、イタリア、ドイツ、フランス)で失点数が一桁台のチームはほかに存在しない。
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著者プロフィール
高橋智行 (たかはし・ともゆき)
茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。