クロアチア戦に向け、チッチ監督は日本に感謝。26人全員起用&ネイマール復帰のブラジルに死角はあるか (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 全員を使うことで、チッチは選手一人ひとりに信頼と責任感を感じさせた。部外者は誰もいない。このチームはみんなのものだ。ブラジルはチッチ監督のもと、家族のようになっている。それはどこか2002年日韓大会の「スコラーリ・ファミリー」と呼ばれていたチームを思い出させる。あの大会でブラジルは優勝を果たした。ブラジル選手がいいプレーをするには、いい気持ちでプレーすることが大事なのだ。

 ただしブラジルはまだ、いわゆる「強豪」と呼ばれるチームとはここまで一度も対戦していない。グループリーグではセルビア、スイス、カメルーンと組み合わせに恵まれたし、ラウンド16も与しやすい韓国と当たった。しかし、これからはそうはいかないだろう。ベスト8に勝ち上がったチームは決して偶然そこに至ったわけではない。韓国戦で見せたような驕りを少しでも見せれば、足元をすくわれかねない。

 準々決勝の相手は前大会準優勝のクロアチアだ。ここまで彼らのプレーはそれほどいいものではなかったが、日本戦では1点ビハインドから同点に追いつき、PK戦で勝った。その精神力は無視できない。調子のいい時はすごくいいパフォーマンスができるのに、ひとたび逆境に陥ると崩れやすい感情的なブラジルとは正反対だ。

 そしてクロアチア戦に関して、チッチ監督は日本に感謝していた。

「日本が最後の最後まで全力でプレーしてくれたおかげで、クロアチアはすべてを出しきり、我々は彼らの手の内を知ることができた」

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