スペイン代表に五輪では健闘も、フル代表は...トルシエジャパンが演じた世紀の凡戦 (2ページ目)
トルシエが採った「フラット5」
この時のスペインには、その直前に行なわれたユーロ2020でベスト4入りしたA代表のメンバーが6人(ウナイ・シモン、パウ・トーレス、ダニ・オルモ、エリック・ガルシア、ペドリ、ミケル・オヤルサバル)含まれていた。
スペインがA代表×30~40%という感じだったのに対し、日本は準代表というべきA代表×70~80%の陣容で、ホームであったことを考えると、両国の間にはまだ少なからぬ差があると見るのが妥当と考える。
スペイン対日本戦で、中田英寿のタックルをかわすペドロ・ムニティスこの記事に関連する写真を見る そしてA代表同士が対戦した唯一の試合は22年前。2001年4月25日、スペイン・コルドバのエル・アルカンヘルで行なわれた一戦だ。
スペイン代表は以下のとおり、ベストメンバーに近い編成で臨んできた。
GKサンティアゴ・カニサレス、DFマヌエル・パブロ、ミゲル・アンヘル・ナダル、パコ、セルジ・バルフアン、MFイバン・エルゲラ、ジョゼップ・グアルディオラ、ガイスカ・メンディエタ、ラウル・ゴンサレス、ペドロ・ムニティス、FWサルバ・バジェスタ。
対する日本は以下のような顔ぶれだった。
GK川口能活、DF服部年宏、中田浩二、森岡隆三、上村健一、波戸康広、MF稲本潤一、名波浩、伊東輝悦、中田英寿、FW高原直泰。
4-2-3-1のスペインに対し、日本は中田英を1トップ下に据えた5-3-1-1で臨んだ。3バックではなく5バック。トルシエ監督の3バックはフラット3と呼ばれたが、それにちなみこの5バックはフラット5と呼ばれた。トルシエは実際、練習の段階から5人をフラットに並べていた。なぜ3バックではなく5バックだったのか。その理由は1カ月前(3月24日)、パリのスタッド・ドゥ・フランスで行なわれた親善試合に起因する。
0-5。日本はそこでフランス代表に大敗を喫していた。3-5-1-1で臨んだ日本に対し、フランスが狙いをつけたのは、左ウイングバックに起用された中村俊輔の背後で、いわゆる3バックの泣きどころを容赦なく突いてきた。
後半23分。ダビド・トレゼゲが5点目のゴールを奪うと、フランスは攻撃を止めた。親善試合に5点差以上の勝利を飾っては礼を失するとばかり、明らかに手を抜いてきた。日本にチャンスを与えたわけだが、スコアはそれでも動かなかった。
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