PSGフロンターレ戦で見えた光と陰。一番の仕上がりは35歳のメッシ、フル稼働が厳しいのは36歳のセルヒオ・ラモス

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

パリ・サンジェルマン真夏の短期集中講座
<第5回>〜川崎フロンターレ戦@国立競技場〜

 パリ・サンジェルマン(PSG)の日本ツアー3連戦の初戦となった川崎フロンターレとの一戦は、6万4922人の観衆を集めて"新"国立競技場の最多入場者数記録を更新。スタンドを埋め尽くしたファンの熱気に包まれるなか、試合はPSGが2−1で勝利を収めた。

 もちろん、現在のPSGは新シーズン開幕に向けた準備を始めたばかりなので、選手の動きは全体的に重かった。試合後の会見では、PSGのクリストフ・ガルティエ監督も両チームのコンディション差に言及したうえで、収穫と課題について次のように振り返っている。

>>第1回はこちら>>「PSG激動の歴史。降格争い、借金まみれ、スポンサーもさじを投げた」
>>第2回はこちら>>「PSGスーパースター列伝。王様ズラタン、ピルロ後継者、ベッカム引退」
>>第3回はこちら>>「PSGの新体制にスター選手も戦々恐々。ネイマールさえも...」
>>第4回はこちら>>「攻撃はMNMトリオのアドリブ優先、守備は不慣れな3バックを採用か」

昨季の不調を払拭する仕上がり具合のメッシ昨季の不調を払拭する仕上がり具合のメッシこの記事に関連する写真を見る「攻撃でいいコンビネーションプレーを見せたほか、前からプレッシャーをかけてチャンスを作ることもできた。

 一方、我々の選手たちは3−4−1−2という新システムに適応しなければならないわけだが、まだそのバランスが悪く、相手に多くのチャンスを与えてしまった。この点については、今後数週間で解決しなければならない大きな課題であり、攻守のバランスを保ちつつ、もう少し攻撃に人数をかける必要もある」

 まず、ガルティエ監督が収穫としてあげた攻撃陣のコンビネーションは、PSGがこの試合で記録した2ゴールに象徴される。

 32分の先制ゴールは、敵陣左サイドのクイックスローインからFWキリアン・エムバペがドリブルでDFを揺さぶったあとにクロス。それをファーサイドのボックス内に入ってきたDFアクラフ・ハキミがダイレクトで落とし、FWリオネル・メッシが右足で放ったシュートが登里享平の足に当たって決まったゴールであり、複数の選手が連動して生まれたものだった。

 しかも、そのゴールの起点となったスローインは、家長昭博からチャナティップへのパスを敵陣でMFイドリッサ・ゲイェがプレスをかけて回収したところから決定機を作り、GKチョン・ソンリョンをかわしたメッシのシュートをラインギリギリでチャナティップがクリアしたことで得たもの。つまり、指揮官の狙いでもある高い位置のプレスが効果を示したシーンだ。

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