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日本代表のドイツ打倒のヒントを見た。CLでバイエルンを下したビジャレアル (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Chris Brunskill/Fantasista/Getty Images

ドイツ人選手にない個性を前面に

 W杯の抽選会の結果を意識すれば、日本の打倒ドイツのヒントをビジャレアルに見たとなる。バイエルンは戦いにくそうにプレーしていた。しょせんスペインリーグの7位チームと、見下していたこともあるだろうが、ブンデスリーガには存在しないテイストのチームを目の前にして、面食らった。調子を狂わされたという感じだった。

 ビジャレアルの各選手は、ネームバリューの割に実力がある。何と言っても技術が高い。バイエルンをはじめとするブンデスリーガのクラブに欠けているラテン色がある。

 ドイツ人選手にはない個性を前面に打ち出すことが、番狂わせの近道だと教えられた気がする。巧緻性と技巧で勝負すべし、と。CLの準々決勝は第2戦がある。バイエルンに逆転の目は十分残されている。だがこれが90分1本勝負のW杯ならば、番狂わせは成立している。W杯はCLより弱者優位の設定で行なわれることを忘れてはならない。

 それはともかく、CLでは前半に相当する第1戦を終え、ビジャレアル対バイエルンに次ぐ衝撃を与えた試合は、下馬評で4番手と5番手に挙がっていた両チームの対戦だった。

 チェルシー対レアル・マドリードは、つまり最も接戦が期待された一戦だった。チェルシーはいつものように3-4-2-1でスタートした。ひと口に言えば、守りを固めて、速い攻めで勝負するスタイルで、レアル・マドリードに対峙した。それは言い換えれば直線的なサッカーだ。

 一方、レアル・マドリードのサッカーは三次元的と言うか、立体的だった。左ウイングの位置に大きく張って構える進境著しいジュニオール・ヴィニシウスにボールが渡ると、チェルシーにはないレアル・マドリードの魅力は全開となった。

 前半を1-2で折り返すと、チェルシーは布陣を4バックに変えた。守備的で直線的だったサッカーをレアル・マドリード的なサッカーに変えようとした。

 守備的サッカーで臨んだにもかかわらず2ゴールを許した。これは計画が失敗したことを意味している。トーマス・トゥヘル監督は残りの45分を、それとは180度異なるコンセプトで臨もうとしたわけだ。

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