2022.04.06

スペインは強いが、無敵ではない。日本代表を過小評価する”慢心” につけ入るスキはある

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

「スペイン代表が(スカウトとして)声をかけてこないなら、日本代表のスカウトになって秘策を授けよう(笑)」

 『Web Sportiva』で日本代表を分析するご意見番のひとり、スペイン人指導者ミケル・エチャリはそう言って、カタールW杯グループリーグでスペインが日本と同組になったことを祝った。

 昨今、スペインのサッカー関係者が日本と関わりを持つ例が増えている。

 Jリーグで指揮を執ったミゲル・アンヘル・ロティーナ、フアン・マヌエル・リージョはスペイン国内でもトップレベルの名将。ルイス・カレーラスのような目を覆う失敗例もあったが、リカルド・ロドリゲス(浦和レッズ)、アルベル・プッチ(FC東京)、リュイス・プラナグマ(ヴィッセル神戸)ら、母国ではほぼ無名ながら、J1で采配を振るスペイン人は今や少なくない。

 神戸に在籍するアンドレス・イニエスタを筆頭に、選手も続々と入ってきている。

「イニエスタに、どのようにスペインに勝つべきか、聞くつもりです」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、森保一監督のそんなコメントを紹介している。はたして、日本がスペインに勝つチャンスはあるか。

東京五輪で対戦したペドリと久保建英。カタールで再び相まみえるか東京五輪で対戦したペドリと久保建英。カタールで再び相まみえるか この記事に関連する写真を見る  筆者はスペイン、バルセロナで5年間、サラマンカで1年間生活し、他にもラ・コルーニャ、グラナダなどで長期滞在を経験している。大きなスタジアムから小さなスタジアムまで訪れ、有名選手から無名選手まで取材を続けてきた。スペインには盟友と言える人間がいる。冒頭のエチャリだけでなく、かつて神戸を率いたリージョもそのひとりだ。

 過去30年間で、スペインと日本のサッカーの「距離」は確実に近づいてきた。

 同時に、日本が勝てる確率は高まってきたと言える。「10回戦ったら必ず10回敗北する」という可能性は限りなく低い。何かが起きるところまで、日本は強くなった。

 カテゴリーは違うが、2012年のロンドン五輪でも日本は優勝候補の筆頭だったスペインを鮮やかに撃破した。永井謙佑を中心にした"鬼のプレッシング"によって、スペインDFをいらつかせて退場処分に追い込み、虎の子のカウンター1点で金星を挙げている。「こんな戦い方をするチームとやったことはない」とスペインの選手を唖然とさせ、"奇襲"が功を奏した形だ。