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スペインは強いが、無敵ではない。日本代表を過小評価する"慢心" につけ入るスキはある (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

全盛期は10年前、無敵ではない

 ただ、その時と同じ戦いを志向するべきではないだろう。年齢制限のある年代では思いどおりにいかないことに対する耐性が弱く、メンタル的問題が出やすいと言える。そのためユース年代では大番狂わせが多く、日本も1996年のアトランタ五輪は当時最強を誇ったブラジルを下して「マイアミの奇跡」という歴史を作り、1999年のワールドユースでは準優勝している。

 しかし、歴戦の強者が揃うフル代表の選手は、すぐ戦いに適応し、切り替えることができる。極端なプレッシング程度で面喰ったりしない。試合中、何度も攻め手、守り手を変える修練を積んでいるのだ。

 スペインは単純に強い。ペドリは世界最高のサッカー選手と言えるし、その彼がセルヒオ・ブスケッツと並ぶと、"無敵感"が出る。各ポジション、少々ケガ人が出たとしても、ほとんど同じレベルでバックアップがいる。

 ただ、無敵ではない。実際、前回のロシアW杯ではどうにかベスト16に進んだが、史上最弱の開催国のひとつ、ロシアに敗れ去った。大会開幕の前々日に監督が交代する騒動も影響したが、つまりはそういう問題を抱える国なのだ。

 スペイン代表が真にひとつになったのは、EURO2008で名将ルイス・アラゴネスが率いて優勝したあたり。後を継いだビセンテ・デル・ボスケが2010年の南アフリカW杯、EURO2012で優勝し、一時代を築いた。しかし名将の統率力でひとつになっていたが、本来スペインはひとつではない。各地域、民族同士の遺恨は消えず、それが国内サッカーの醍醐味にもなっているほどだ。

「マドリードに対し、恨みを持っている」

 今のスペイン代表を率いるルイス・エンリケ監督は、そう揶揄されている。現役時代、レアル・マドリードで不遇を囲ったが、移籍したFCバルセロナでは優遇され、その後は監督を経験し、タイトルも獲得した。必然的にバルサ寄りとなるだけに、レアル・マドリードからひとりも代表選手を選出しないという決断を下した時には、マドリードメディアの猛反発に遭っている。

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