U-24スペイン代表の「イニエスタ2世」。レアル不合格から18歳で代表の中心に成長した (2ページ目)
「18歳のペドリがやってのけたことを見たか? ドン・イニエスタ(愛称)ですら、(18歳で)あんなプレーをしていたのは見たことがない」
ルイス・エンリケ監督も、ペドリへ手放しの賛辞を贈った。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いのペドリだが、少年時代にはキャリアの分岐点があった。12、13歳の時、カナリア諸島の雄であるテネリフェへの入団を、地元クラブが持ちかけた。ところが、あっさりと断られてしまった。
「背が小さすぎるし、体もガリガリだから」
それが拒否の理由で、本人は相当なショックを受けたという。次の年、予想以上の活躍をした少年は、今度はオファーを受けた。しかし、ペドリの返事は辛らつだった。
「僕は今も背が小さくて、体もガリガリですから」
そして、テネリフェの永遠のライバルであるラス・パルマスと契約したのだ。
ちなみに、レアル・マドリードもペドリにテストを受けさせたことがあった。しかし、この時はピッチが凍っていたことで持ち前の技術が封印され、体格差で見劣りしたことから「不合格」を出したという。逃した魚は大きかった。
ペドリは一気にスターダムを駆け上がったわけだが、挫折も乗り越えてきただけに驕りはない。
――ゴールへのアプローチがやや少ないのでは?
ユーロの大会中、記者にそう問われた時、脚光を浴びるペドリの人間性の本質が出た。
「エリア付近のプレーを改善する必要はあると思います。ゴールのオプションをもっと持てるように。それは監督からも言われているんです」
なんと素直な受け答えだろうか。真っ直ぐな「サッカーをもっとうまくなりたい」という強い欲は感じさせる一方、不必要なエゴや自尊心を持っていない。そのパーソナリティこそ異能だ。
ユーロのグループリーグの最初の2試合、ペドリは好調ではなかった。テンポの良いプレーが影を潜め、疲労の蓄積も指摘され、「若い選手だけに使い方を考えるべき」と、ルイス・エンリケ監督は起用法を批判されていた。しかし、グループリーグ最後のスロバキア戦からペースを上げ、決勝トーナメントのクロアチア戦、スイス戦、イタリア戦と欠かせない選手になった。
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