2021.07.17

U-24スペイン代表の「イニエスタ2世」。レアル不合格から18歳で代表の中心に成長した

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Shaun Botterill /UEFA via Getty Images

「まだ15歳だけど、ラス・パルマスのユースにとんでもない選手がいるよ。大げさかもしれないが、アンドレス(・イニエスタ)のようだ」

 3年前、筆者はフアン・カルロス・バレロンからそんな連絡を受けた。

 バレロンは「スペインのジダン」と言われ、デポルティーボ・ラ・コルーニャなどを中心に活躍した元スペイン代表MF。引退後は故郷のカナリア諸島、ラス・パルマスで育成サポートをしつつ、監督ライセンス取得の準備をしていた。スペイン人らしくなく、生真面目で控えめで、軽々しい表現を口にしない男だけに、イニエスタを例に出す言葉が重く響いた。

 ペドリ(本名ペドロ・ゴンサレス・ロペス)。その名前を記憶に刻んだが、覚える必要もなかった。

 ペドリは16歳でバルセロナに500万ユーロ(約6億5000万円)で移籍し、1シーズンは2部ラス・パルマスに残って中心選手としてプレー。17歳でバルサに移ると、いきなり定位置を確保し、カップ戦も含めて50試合以上に出場した。そして18歳でスペイン代表の中心としてユーロ2020を戦い、大会の最優秀若手選手賞に輝いたのである。

 瞬く間に世界有数のMFになったペドリとは、何者なのか?

ユーロ2020を戦った後、U-24スペイン代表として来日したペドリユーロ2020を戦った後、U-24スペイン代表として来日したペドリ この記事に関連する写真を見る  ユーロの準決勝でスペインはイタリアに敗れたものの、ペドリはインサイドハーフとして相手を翻弄した。

 小柄で痩身だが、大男たちを相手にしても潰されない。敵の力を利用し、くるりと回転する。ボールキープの技術は神がかっており、居合抜きのように迫ってくる敵と入れ替わった。それは魔法にも近い。

 単なる展開のパスでさえも、タイミングや精度が際立った。肌が粟立つような角度とタイミングでラストパスを送り、見事に通した。セルヒオ・ブスケッツからのパス供給を最大限に生かし、攻撃をリードしたのだ。

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は大会後、ウェブサイトで「ユーロのスペイン代表MVP」を投票で選んだが、トップは56%の得票率でペドリだった。2位がチームの舵を取ったセルヒオ・ブスケッツの13%、3位が前線で目立ったダニ・オルモの11%だが、2人を大きく引き離した。