ユーロ優勝、革新のイタリアにあった伝統。その象徴・キエッリーニが抜かれないカラクリ
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サッカースターの技術・戦術解剖
第67回 ジョルジョ・キエッリーニ
<最後は守備の力>
ユーロ2020に優勝したイタリアは、従来のイメージとは違っている。イタリアと言えば「守備的」「1-0」「カテナチオ」のイメージだろう。ところが、今大会のイタリアはその意味では従来のイメージを覆していた。
キャプテンとしてイタリアをユーロ2020優勝に導いたキエッリーニ(写真左)この記事に関連する写真を見る 興味がなかったはずのボールポゼッションを重視し、ポジショナルプレーを導入、戦術眼とテクニックの高い選手を起用していた。イタリアというより、まるでスペインのようなプレースタイルである。
ユーロ2008のスペイン優勝から始まった戦術的なパラダイムシフト、イタリアはその最後列にいた。ドイツやイングランドがスペインに追随しても、イタリアだけは頑としてなびかず、伝統を守る最後の砦という趣さえあった。
そのイタリアがついに変わった。だから今回の優勝は、改革の勝利といったとらえ方をされている。
確かに、大会トータルでイタリアは優勝に相応しいパフォーマンスだったかもしれない。プレースタイルが大きく変化したのも事実。だが、優勝にたどりつけた理由は本当にそこなのだろうか。
準決勝と決勝はPK戦での勝利だった。この2試合で目立ったのは攻撃力よりも守備力である。GKジャンルイジ・ドンナルンマとレオナルド・ボヌッチ&ジョルジュ・キエッリーニのセンターバック(CB)コンビの堅守が負けない原動力になっていた。
ちなみにPK勝ちは公式記録上、引き分け扱いである。思えば2006年ドイツW杯で優勝した時も、決勝のフランス戦はPK勝ちだった。
今大会のイタリアは変貌を遂げていたが、最後の決め手になったのは伝統の守備力だったのではないか。いや、その前に従来のイタリアは、本当に世間で言われているほど守備的だったのだろうか。
<伝統と革新>
イタリアのW杯初優勝は、1934年自国開催の時だった。万能ストライカーのジュゼッペ・メアッツァを擁し、アルゼンチンから帰化したルイス・モンティも戦術上のキープレーヤーだった。
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