東京五輪代表有力候補だった安部裕葵。バルサBでの評価は高いが、トップ昇格の可能性は?
安部裕葵(22歳)がスペイン挑戦3年目を迎えようとしている。名門バルセロナのセカンドチーム、バルサBに所属。2021-22シーズンも、3部リーグがスタートラインになりそうだ。
7月21日、安部はバルサのプレシーズンマッチ初戦のタラゴナ戦で、後半頭から起用されている。ボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFミラレム・ピャニッチと代わってピッチに立った。当初は右サイドだったが、途中で左サイドへ。際どいクロスに合わせ、中央へのランニングでボールを呼び込む。そして終了間際にはチームの3点目をアシスト。左サイドから左足キックでふわりとしたボールを上げると、ファーポストでフリーのアルバニア代表FWレイ・マナイの胸に合わせ、技量の高さを見せつけた。
「この日本人は久保(建英)ではないが、マナイへすばらしいクロスをお膳立てし、3点目をもたらした」
スペイン大手スポーツ紙『アス』も、そう賛辞を送っている。
バルサBのプレシーズンマッチ初戦は1ゴール1アシストの活躍を見せた安部裕葵この記事に関連する写真を見る 抜擢された理由は、トップチームの選手の多くがユーロ2020やコパ・アメリカに参加して合流が間に合わず、人数が足りなかったことにあった。ただ、その試合でハットトリックを達成したマナイやロナルド・クーマン監督が気に入ったといわれるアレハンドロ・バルデ、ユスフ・デミルは次の試合も先発。バルサBがトップチームへの登竜門であることの証左だろう。
安部は両足が使えて、戦術眼にも優れる。左サイドが主戦場だが、ゼロトップや右サイドにも適応。攻撃のユーティリティで、ゴールに向かうプレーには知性と凄みが漂う。果たして安部は栄光のクラブ、バルサでトップ昇格を果たせるのか?
ひとつ言えるのは、22歳という年齢は、トップ昇格を考えた場合、瀬戸際にいるということだ。
「バルサBに戻るつもりはない。トップ昇格か、1部リーグの他のクラブへの移籍だ」
バルサBの左利き攻撃的MFアレックス・コジャードがそう宣言しているのは、実状を物語っている。コジャードはバルサのユースで欧州を制し、バルサBでは3シーズンを過ごした。トップデビュー経験もあるが、安部と同じ22歳で決断を迫られている。スペインでは21歳を越えたら育成年代から外れ、プロ選手として独り立ちする必要があるのだ。
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