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非常事態のリバプールでサラーが奮闘。ゴール前での見事な駆け引き (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

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中に行くと見せて、外に走りマークを外した

 フィルミーノからパスが出た時、リンデロフはサラーとはまったく逆の方向へ走り出していた。もちろん、最も危険な中央へ帰陣するのはDFの基本ではある。CBの間のパスコースが危険だというのもすぐに察しがつく。

サラーは中への動きから外へ走る方向を変え、パスコースをつくったサラーは中への動きから外へ走る方向を変え、パスコースをつくった しかし、このシーンでは、リンデロフはサラーにそう走らされたというほうが正しいだろう。

 フィルミーノが中央でターンする間、リンデロフはサラーの動きをつぶさに見ながら警戒していた。そしてフィルミーノがルックアップするタイミングで、サラーはやや中央へ向かって走り出す。リンデロフはその動きを見た瞬間に、フィルミーノに視線を移した。

 ここからがポイントだ。サラーはリンデロフが自分から視線を切った瞬間、外へ開くように動き直し、リンデロフはサラーが来ると思っている中央へ帰陣。ふたりは枝分かれするように別の方向へ走り出した。

 サラーは、FWにとっていちばん美味しい中央エリアを餌にしてリンデロフを動かし、マークを外してわずかなパスコースを空けたのだ。

 一部始終を見ていたフィルミーノは、優れた状況判断で足元にピタリと合わせる、質の高いパスを送る。そしてサラーは、完璧なファーストタッチとループシュートで先制点を奪った。

 この試合はサラーが2得点を挙げるも敗戦。ただ、リバプールは最強3トップの阿吽の呼吸による攻撃力を頼りに、この窮地をどうにか乗り切りたいところだ。

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