2021.02.06

「反逆児」スアレスが爆発中。バルサ→アトレティコでどう変わったか

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

サッカースターの技術・戦術解剖
第44回 ルイス・スアレス

<ボックス内の状況を一瞬で把握>

 アトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネ監督は、ルイス・スアレス(ウルグアイ)との移籍交渉で「反逆児としての彼を見つけた」のだという。バルセロナから放出されたスアレスに、並々ならぬ意欲を感じとったようだ。

アトレティコ・マドリードで、ストライカーの才能を爆発させているルイス・スアレス アトレティコに移籍して第21節時点で14ゴール、得点ランキングのトップにいる。チームも2位バルセロナに10ポイントの差をつけて首位を走る。

 ここ数年のアトレティコは、攻撃の増強に努めてきた。堅守速攻でラ・リーガにレアル・マドリードとバルセロナの二強時代を終わらせたが、攻撃力不足が足かせになっていた。試行錯誤しながら今季の3バックにたどり着いている。

 引いた時は5バックになる守備の堅実さを残しながら、マルコス・ジョレンテ(スペイン)、トマ・ルマール(フランス)、ジョアン・フェリックス(ポルトガル)、アンヘル・コレア(アルゼンチン)のアタッカー陣を最大限に活用。MFの構成はジョアン・フェリックスをトップ下に置くダイヤモンド型、コレアを右サイドに配したフラット型と使い分けているが、アタッカーを従来よりも多く起用している。

 そのなか、不動のセンターフォワードを張っているのがスアレスだ。

 第21節のカディス戦ではFKを直接決めている。バルセロナ時代はリオネル・メッシ(アルゼンチン)がいたためにほとんど蹴る機会がなかったが、蹴らせれば相当うまいことを思い出した。得点に関しては万能と言っていい。主にボックス(ペナルティーエリア)内で勝負する。足でも頭でもゴールできて、クロスボール、こぼれ球、ドリブルシュート、裏抜けと何でもあり。

 エゴイスティックな印象があるが、アシストは多い。バルセロナ時代はメッシに最も多くのアシストをした選手だった。正確な技術や体幹の強さを感じさせるボディバランスだけでなく、瞬間的にボックス内の状況を把握する能力が抜群なのだ。