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語り継がれる中田英寿の伝説。あの日セリエAでイタリア人の度肝を抜いた (3ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

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 ペルージャはこのシーズンにセリエAに昇格したばかりだった。一方、対するユベントスは2連覇中のディフェンディングチャンピオン。率いるのは名将マルチェロ・リッピ。デル・ピエロとフィリッポ・インザーギがトップを組み、中盤にはジダン、エドガー・ダービッツ、ディディエ・デシャン...。

 わざわざ中田を見に海を渡って来た日本人ファンには悪いが、ユベントスの一方的な試合になることはほぼ確実だと思われた。イタリアデビュー戦の相手は、あまりにも彼にとって分が悪すぎた、と。実際、地元サポーターと日本人サポーターの声援に後押しされながらも、前半はほぼユベントス一色だった。

 ユベントスは、その直前のイタリアスーパーカップでラツィオに敗れていたこともあり、前半から果敢に攻めに出た。対するペルージャはなすすべもなく中盤より前に上がることができなかった。

 ユベントスは序盤からペルージャゴールを脅かし、23分にFKを得ると、ダービッツが30mの地点から直接ゴール。不意を突かれたペルージャのGKアンジェロ・パゴットは何もできなかった。その後もユベントスは32分に、やはりこの日イタリアデビューの新加入イゴール・トゥドルが、デル・ピエロのCKをヘッドで押し込み、前半終了間際にはジャンルカ・ペッソットがミドルシュートを叩き込み、3-0でハーフタイムに入った。

 しかし、3-0というスコアに安心したのか、後半ユベントスの集中力が切れはじめる。イタリア初挑戦の中田は、それを見逃さなかった。7分、中田はトップスピードでペナルティーボックスの中に切り込み、右足から勢いのあるシュートを放つ。ボールはイタリア代表GKアンジェロ・ペルッツィの脇を抜け、ゴールに突き刺さった。

 なんと中田は、デビュー戦で初ゴールを決めたのである。

 カテナチオの国イタリアでは、欧州のトップチームで活躍していたスター選手でも、すぐに活躍するのは難しい。実際私も、何人もの選手がイタリアの壁を破れず、セリエAを去るのを見てきた。このゴールは日本人が思う以上に値千金であったと思う。

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