カズのジェノアでのプレーより
印象に残ったスタジアムと震災の記憶 (5ページ目)
いまから四半世紀前の話になるが、当時はイタリアブームの絶頂期でもあった。ちょうどイタリアは、1月10日過ぎからバーゲンで、たとえばミラノのショッピング街は、多くの日本人女性で溢れていた。その流れで、ミラノから電車で2時間ほどの距離にあるジェノバまで足を伸ばす人も少なくなかった。
ミラノに買い物に行き、ジェノバのルイジ・フェッラーリスでカズの試合を見る――それは、1995年1月当時、最先端を行くトレンドとされていた。
阪神淡路大震災は、そんな世の中が半分浮かれたムードの中で起きた大災害だった。震災を振り返る番組を見るたびに、その光景をひとりで眺めたジェノバのホテルを思い出す。さらにはルイジ・フェッラーリスの「スタジオ感」や、傾斜角の鋭いスタンドの眺望が蘇る。カズのプレー以上に。
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