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低迷ドイツ代表が王座奪還へ採用。
メッシを育てた「フニーニョ」とは (3ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

――フニーニョでは3対3で各チームに2つのゴールを設置します。なぜ3対3で、ゴールが各チーム2つずつあるのでしょうか?

「その理由は比較的シンプルです。まずは、従来の7対7に比べて各選手のボールタッチ回数が増え、ボールアクションの回数が増えるからです。そして、3対3という人数は純粋な1対1のシチュエーションが頻繁に起こると同時に、パスなどのコンビネーションの選択肢もあります。少人数のグループであることで、選手間での相互のやり取りが発生します。コミュニケーションや選手間で相互に影響を与え合いながらも、1対1のアクションが求められる状況が頻発するのです。

 ゴールが1つだけだと、守備に回った選手がゴール前に固まってしまい、ゴールを決める難しさに直面します。しかし、ゴールが2つあることで、素早く攻撃方向を変え、比較的フリーなサイドのゴールを狙うことを無意識に学ぶようになります。ゴールが各チームに2つずつあることで、ボールを持ったチームは、常に認知・状況判断から決定に至るまでのプロセスを辿る必要があります。

 ゲームのなかでボールを持ったアクションが増えることで、ドリブルやパスといった基本技術をプレーのなかで習得し、同時に認知・判断そしてコミュニケーションといった戦術的要素の最も基礎的な部分を養えるようになります。なにより、年齢に合わせた少人数のグループで試合をさせることで、(9歳までで)最も重要である『プレーそのものを楽しむこと』をより確実に実現できるようになります。私の経験からしても、コーチが若年層の子どもたちの大グループを練習させるよりも、少人数のグループに分けてミニゲームを行なったほうが、サッカーを学習する効果は大きいでしょう」

――フニーニョないしその提唱者のホルスト・ヴァインのコンセプトは2006~07年頃にはドイツにも入っていたはずです。ここまで導入に時間がかかったのはなぜですか? ドイツサッカー連盟内でも変化があったのですか?

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