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低迷ドイツ代表が王座奪還へ採用。
メッシを育てた「フニーニョ」とは (4ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

「そうですね......。新しいコンセプトが入ってきたら、それを各責任者に納得してもらうのに大変な時間がかかります。ドイツサッカー連盟は巨大な組織ですからね。それだけ、多くの人も関わってきます。そうすると、組織内外の関係者たちが納得し、変化が必要だと動き出すまでにも多大な時間がかかるのです。

 そういう意味では、2018年のロシアW杯の大失敗、それ以降の"危機"も変化を起こすチャンスになると思っています。2006年のドイツW杯から2014年のブラジルW杯までは、ひたすら右肩上がりでした。誰も変化が必要だとは感じていなかったのです。2016年のEUROも、悪くはありませんでした。そういった状況では、変化を起こすのは難しいです。そうして、2018年のグループリーグ敗退を期に、一気にトーンが変わりました。『我々は何かを変えなければならない』とね。その瞬間が、大きな変化を起こすチャンスなのです」

――なるほど。その一方で、現在はストライカーやセンターバックが足りない、という論調が増えています。私自身も、フニーニョに取り組む選手を見たり、自分でもプレーしてみましたが、創造性やアイデアが必要になる一方で、このトレーニングはポジションで言えばボランチやセンターハーフの選手が多数生まれるような実感があります。これから、世界的なストライカーが出てくる可能性はあるのでしょうか?

「たしかに、そのとおりです。私自身も、そういった特徴の選手が増えているのを感じています。しかし、このフニーニョの導入もまだ始まったばかりです。同時に、このフニーニョも選手としてのスタート段階に行なわれます。ゲームのなかで1対1の状況を打開できる選手を養成し、ベーシックな個人戦術・グループ戦術の判断を身に着けられるようにする。そこを土台として、年齢を重ねながらポジションの専門的な役割を習得して行けるようになる。

 あまりに早く選手のポジションを特定してしまうのは好ましくはありません。まずは、サッカーをプレーするうえでの基本を身につけることに集中させたほうが良いでしょうね。フニーニョは、そのうえで若年層の年代で身につける基本を学習するための理想的なゲームなのです」

 フニーニョをはじめとする新たな選手育成コンセプトを取り入れ始めたドイツ。「1対1で自信を持って仕掛けられる選手」が生まれ、世界トップへの返り咲きを果たせるのか注目したい。

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