武藤嘉紀を悩ますアジア杯合流のジレンマ。「代表で試合に出ないと」 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 悔しさを滲ませながら語っていた理由は、結果を残せなかったことだけではない。

 1月9日にアジアカップの初戦を戦う日本代表に合流するため、今回のマンチェスター・U戦を最後にチームを離れた。このタイミングで離脱することに、歯がゆさと難しさを感じていた。

 W杯ロシア大会以来となる招集に、「代表でプレーするのは特別なこと。モチベーションになる」と気持ちを高まらせている。だが、ニューカッスルでの現状を思うと、諸手を挙げて喜んではいられない。シーズンの真っ只中にいる欧州組は、同じようなジレンマを抱えてアジアカップに参加することになるが、武藤も例外ではない。

 理由のひとつは、ニューカッスルのレギュラー争いでさらに遅れをとることだ。現在の立ち位置はベンチ要員。アジアカップの決勝は2月1日に行なわれ、最長で約1カ月もニューカッスルを離れることになる。武藤も「ここでやっぱり(チームを)離れるのはすごく厳しい」と表情を曇らせた。

 とくに、1月5日に行なわれるFAカップ3回戦は、武藤にとって絶好のアピールチャンスだった。チームとして大会の優先順位が落ち、しかも、3回戦の相手は英2部のブラックバーン・ローヴァーズ。武藤に先発の機会が与えられていた公算が大きく、本人も「次の試合(=FAカップ3回戦)で、スタメンで出られたと思う」と話す。1月下旬に行なわれるFAカップ4回戦も欠場することになるだろう。

 さらに、FWがコマ不足になるため、冬の市場で選手を補強する可能性が高まった。武藤も「1月に補強もあると思う。自分にとっては難しくなる」と、アジアカップ後の立ち位置について危機感を露わにする。加えて、チームは現在、降格圏から2ポイント差の15位につける。降格圏が近づいており、武藤もチームの力になれないことを嘆いた。

 もうひとつの理由は、出場時間を確保できないこと。

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