高額報酬だけじゃない。ロナウドがユベントスを選んだ本当の理由 (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 移籍金1億1200万ユーロ(約145億円)、年俸は3000万ユーロ(約40億円)、契約は2022年まで。ユベントスがロナウドと結んだ契約は、例を見ないほどゴージャスで、「33歳の選手にここまで?」という驚きの声も少なくなかった。

 だが、ユベントスが獲得したのはロナウドという選手だけではない。「クリスティアーノ・ロナウド」というひとつのブランドだ。実際、その効果はすぐに表れた。彼の移籍を発表したときから、レアルのインスタグラムのフォロワーは48時間で100万人減った。ユベントスのフォロワーは100万人増え、今では1000万人を超える。

 ユベントスのサイトにはアクセスが集中し、移籍発表後4日間は、1日に4ー5回ダウンしている。フアン・クアドラードが譲ってくれた背番号7のユニホームは、発売初日だけで世界で52万枚が売れた。

 ロナウド効果はSNSやマーケティングだけではない。彼は他の優秀な選手をひきつけることもできる。今後は誰もがロナウドの名前に惹かれ、ユベントスでプレーしたいと思うだろう。ユベントスは今、フランス代表MFポール・ポグバをほしがっているが、ロナウドとともにプレーするとなれば、ポグバもそう簡単にNOとは言わないはずだ。レアルのマルセロも、ロナウドへの別れの言葉に「また近いうち一緒に」と意味深な言葉を残している。

 ユベントスはロナウドの顔見世にビッグイベントを用意しようとしたが、ロナウド自身がそれを断り、ごくシンプルな記者会見をするにとどまった。たとえ天下のクリスティアーノ・ロナウドであっても、移籍直後から新天地で活躍するのが難しいことは、彼自身が知っている。だから過度のプレッシャーがかからないよう、できるだけ静かに移籍したかったのだ。

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