2018.07.18

高額報酬だけじゃない。ロナウドが
ユベントスを選んだ本当の理由

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 2018年4月3日、チャンピオンズリーグ準決勝、ユベントス対レアル・マドリード。クリスティアーノ・ロナウドの見事なバイシクルシュートが決まると、トリノ・アリアンツスタジアムを埋め尽くしていたユベントスサポーターは立ち上がり、彼に惜しみない拍手を送った。

 相手サポーターからの思わぬ賞賛に、ロナウドは少し驚いたようにスタンドを見上げ、そして親指を立てて感謝の意を表した。このとき、彼のなかにある思いが芽生えたとしても、決して不思議ではないだろう。

トリノでユベントスファンの声援に応えるクリスティアーノ・ロナウド photo by AP/AFLO ロナウドは常にナンバー1でありたい人間だ。彼の行動はすべて、主役でありたいという動機に裏付けられている。今回のユベントスへの移籍も、最大の理由はそこにある。彼の目標は「サッカーの歴史で一番偉大な選手になること」。幼いころから彼の母親は、クリスティアーノにいつもそう言い聞かせてきた。

 ところが、9年目を迎えるレアル・マドリードでは、その夢を実現するのが次第に難しくなってきていた。

 彼とレアルとの契約は2022年まであった。しかし昨年11月、ロナウドは「契約を更新する気はない」という発言をして、周囲を驚かせた。これより少し前、ロナウドは代理人を通して報酬の増額を要求していた。その夏にパリ・サンジェルマン(PSG)と契約したネイマール、契約を見直したリオネル・メッシの年俸は、ロナウドより高額となっていた。

 サッカー選手にとって、報酬とはダイレクトに評価の高さを示すものである。バロンドールを連覇している自分が誰かの下につくことに、彼は我慢できなかった。しかし、レアルのフロレンティーノ・ペレス会長は彼の報酬アップを認めない。33歳のC・ロナウドはすでにピークを過ぎた選手であると、ペレス会長は考えていたからだ。