また決勝で涙も、不屈の「スーパーマリオ」
マンジュキッチの闘志は衰えず (3ページ目)
不屈であることこそ、彼の持ち味だ。それは諸刃の剣のようでもある。たとえばバイエルン時代は、ジョゼップ・グアルディオラ監督から我の強さを疎まれ、構想から外れている。マンジュキッチはカップ戦も含めてシーズン25得点をマーク。諦めない戦いを続けて結果を叩き出したが、戦力外になっているのだ。
ありあまる実力を持ちながら、どこか不運なイメージがつきまとう選手といえる。
この夜、マンジュキッチはもう1点、記録しているが、それはフランスの先制点に結びついている。アントワーヌ・グリーズマンが蹴ったFKを、ジャンプ一番、クリアしようとしたが、わずかに届かず、頭頂部にかすってしまったことで、コースが変わって自陣のゴールに吸い込まれたのだ。
その瞬間、マンジュキッチは呆然と立ち尽くしていた。それは、決勝で負け続けてきた男にとって、不吉な暗示に思えただろう。頭が真っ白になってもおかしくはない。しかし、彼は最後までその運命に立ち向かった。
「戦い続けるしかない」と、マンジュキッチは言う。
クロアチアは力及ばず、敗れた。マンジュキッチはまたしても、決勝で敗者となってしまった。しかし華麗さのない渾身の一撃には、敗れざる者の気高さがくっきりと映っていた。
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