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「王の顔」が消えていたC・ロナウド。
主役の座はカバーニに奪われた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki スエイシナオヨシ●写真 photo by Sueishi Naoyoshi

 後半は欧州王者のポルトガルも、意地を見せるように反撃に出た。マンチェスター・シティで活躍するベルナルド・シウバが高い位置でボールを持つようになると、攻撃が活性化。ウルグアイの勢いを封じ、押し込めるようになる。

 後半10分だった。左CKのショートコーナーから、ラファエル・ゲレイロが左足で巻いて落とすようなキックでクロスを入れると、ファーポストにいたペペが頭で合わせ、同点とした。

 ポルトガルは、一気に勝負を決めにいくべきところだった。ところが、エースのC・ロナウドの動きが冴えない。

 C・ロナウドは前半、ベルナルド・シウバとのワンツーでミドルシュートを打っているが、ほとんどのシュートはディフェンスにブロックされるか、その前に奪われている。サイドで得意のシザースフェイントを試みても、相手の集中したマーキングを外せない。得点シーンはDFのマークを集め、ペペをフリーにしていたものの、強引さが目立ち、コンビネーションもほとんど使えなかった。

 そして後半17分、ウルグアイはマークを集めたロドリゴ・ベンタンクールからの滑るようなパスを、カバーニが左サイドから右足で巻き込んだ。今大会のベストゴールのひとつに数えられるような美しい軌道のシュートを決め、逆転に成功した。カバーニはこの後、負傷交代を余儀なくされたが、この日、主役の座をC・ロナウドから奪っている。

 まだ試合の残り時間はたっぷりとあったが、C・ロナウドの表情は曇ったままだった。相手を見下し、ひれ伏させる。尊大な"王"の顔が消えた。自らを焚きつけ、王たる道を極めてきた男が、まるで物思いにでもふけっているようだった。シュートはずっとブロックされ続けた。

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