試合中、ぼんやり歩いていたメッシ。アルゼンチンの限界を世界が見た (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 だとしても、対戦した両チームのキャプテンにして「10番」、すなわち、それぞれのシンボル的存在が見せたあまりに対照的なパフォーマンスには、やはり注目しないわけにはいかない。

 勝利したクロアチアの10番、ルカ・モドリッチは攻守両面でよく動き、常にひとつの駒として機能するなかで、他が真似のできない"違い"を作り出した。試合を決めた2点目のスーパーゴールがまさにそれを象徴する。

クロアチアに完敗し、静かにピッチを去っていくメッシクロアチアに完敗し、静かにピッチを去っていくメッシ 一方でアルゼンチンの10番、リオネル・メッシはあまりに緩慢だった。

 初戦のアイスランド戦では、攻撃がうまくいかないと見るや、自ら下がってボールを受け、低い位置からでもドリブルを仕掛けたり、パスをさばいたりと、自分が何とかしようとする意欲が見えた。"戦術はメッシ"。アルゼンチンの現実を、彼自身がよく理解しているようだった。

 ところが、クロアチア戦では、どちらのチームがボールを保持しているかに関係なく、メッシはほとんどの時間でぼんやりと歩いているだけ。時折気がついたように相手にプレスをかけたり、パスを受けて強引にドリブルで相手守備網に突っ込んでいったりするものの、実質的なプレー機会は極めて少なかった。

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