2018.06.23

暴かれたネイマールの「演技」。
VARがブラジル戦を真っ当な試合に

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 後半35分、鮮やかな展開からボールを受けたガブリエル・ジェズスは、シュートと見せかけて、ペナルティエリア内左サイドで待ち構えるネイマールにトリッキーなパスを送った。「後は任せた、よろしく」と言わんばかりのラストパスだ。ネイマールにとって、この場面が腕の見せどころであることは、スタンド上階の記者席からでもハッキリと浮かび上がった。

 対峙するコスタリカのディフェンダー、ジャンカルロ・ゴンサレスを外してゴールを決めれば、さすがネイマールと称賛したくなるシーンである一方、決めることができなければ、並の選手と大差なく見えてしまうシーンでもあった。ジェズスからネイマールに渡ったパスは、超一流選手か否かを分岐する、物差しのような役割を果たしていた。

コスタリカ戦の終了間際に今大会初ゴールを決めたネイマール ネイマールはゴンサレスの逆を取るフェイントを見せた。が、逆を取れず、かわしきれなかった。そして身体をのけぞらせるようにバランスを崩し、相手から身体を押さえつけられ、身動きができない状態にあることをオランダ人のビョルン・カイペルス主審にアピールするように倒れた。

 カイペルス主審が下した判定はPK。芝居は成功したかに見えた。

 スコアは0-0。ブラジルは試合を優勢に進めながら、最後のひと押しができず、勝ち点3を得ることが危ぶまれ始めていた。そこで起きたこのプレー。この試合のみならず、ブラジルの今後を占う重要な場面だ。

 ブラジルは初戦でスイスに1-1で引き分けていたので、このまま終われば、2試合で勝ち点は2にしかならない。グループリーグ突破に黄色の信号が灯る。まさかの事態に発展しかねない状況だった。