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暴かれたネイマールの「演技」。
VARがブラジル戦を真っ当な試合に (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 フィリペ・コウチーニョも、鳴り物入りでバルサ入りしたわりには、サッパリだった。パウリーニョしかり。いまだ欧州サッカー界の顔になり得ていない。ブラジルに抱く期待感が大きすぎるのかもしれないが、印象として小粒なのだ。

 だが、チッチことレオナルド・バッチ監督は、そうした小粒感を逆に利用するようなサッカーをしている。ブラジルといえばサッカー大国。最大の武器は個人技だ。従来は、どちらかと言えばサッカーゲームの戦い方にこだわりのない、選手任せのスタイルを好む傾向があった。危機感に欠ける大国意識の強いサッカーと言ってもいい。

 とりわけ、ポジションへのこだわりは希薄だった。左ウイングで起用されたネイマールが持ち場を離れ、奔放なプレーに走ることはよくあった。前所属のバルセロナではそうでなくても、ブラジル代表に戻ると、ポジション感覚のないプレーに走りがちだった。4-2-3-1で戦っても、その結果、チームとして4-2-3-1のテイストは出せていなかった。

 それが今回は様子が違う。採用している布陣=4-3-3通りの、まさに欧州的なサッカーを展開している。視角が急で眺望に優れた「ガスプロム・アレーナ」(設計は黒川紀章)の上階からその全体図を俯瞰すると、従来との違いはより鮮明になるのだった。

 その結果、相手ボール時の対応がよくなっている。前回ブラジルW杯との大きな違いだ。マイボール中心主義のサッカーから脱却できているのだ。準決勝でドイツに1-7のスコアで大敗した反省が十分に活かされている。悪いボールの奪われ方を繰り返し、その数だけ撃ち返され、失点を許した4年前の"惨事"を繰り返しそうもないサッカーである。

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