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暴かれたネイマールの「演技」。
VARがブラジル戦を真っ当な試合に (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 決定力には欠けるものの、サッカーは安定している。ではなぜ、第4審判によってロスタイムの表示が掲げられるまで、0-0で推移してしまったか。それは、コスタリカがいいサッカーをしたからだ。

 その布陣は、前回ブラジル大会同様の5-4-1。だが、5バックで引いて構える意識が強い守備的な3バックというより、3-4-3を維持しようとする。Jリーグで跋扈(ばっこ)している3バックとは一線を画したものだ。

 さらに言えば、ベスト8入りした前回大会で得た財産が残っている。コスタリカは自信を持ってブラジル戦に臨んでいた。決定的なチャンスをたて続けに作られても、チームは最後まで少しも混乱しなかった。

 昨年11月、リールで行なわれた日本対ブラジル戦で、日本が見せたようなプレーをコスタリカはしなかった。井手口陽介の雑なクリアをマルセロに蹴り込まれたのは2失点目のシーンだが、そうした凡プレーをする選手は誰ひとりいなかった。浮き足立つことなく90分間を戦い通した。

 ブラジルに決勝点を許したのは、ロスタイムに入った直後。マルセロ、フィルミーノ、ジェズスと繋ぎ、コウチーニョがプッシュした一連の流れは、ブラジルの底力を褒めるべきだろう。逆に97分、ネイマールに奪われた追加点は、コスタリカが同点ゴールを狙って一か八かのプレーに出たために喫した失点で、その敢闘精神をむしろ賞賛したくなるほどだった。

 サンクトペテルブルグで行なわれたこの一戦は、もしVARがなく、PK判定が覆らなければ、ひどくつまらなくなっていたと思われる。VARに救われた好試合。ネイマールの「嘘」が暴かれたことで、試合は最後まで盛り上がった。VARのプラスの面を見た試合と言えるだろう。

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