サッカー日本代表の選択肢は広がらず 森保監督にはアメリカ遠征のプランニングが欠如していた
連載第58回
杉山茂樹の「看過できない」
メキシコ、アメリカと対戦した日本代表。森保一監督は、アメリカに0-2で敗れた試合後の会見で、今後の4バックの使用の可能性を問われるとこう答えた。
「前のほうの選手を誰か削ることになるので、簡単ではない」
森保監督は3-4-2-1の両ウイングバックに、サイドバック系の選手より、三笘薫や堂安律など4-2-3-1や4-3-3でウイングを務める選手を置くことが多い。これにシャドーのふたりと1トップを加えたアタッカー5人が3-4-2-1上に存在する。4バックでも、4-3-3を4-1-4-1と解釈すれば攻撃的選手は5人になるが、森保監督がアメリカ戦の後半で採用した4-2-3-1になると4人になる。
3-4-2-1で出場機会の多い三笘、堂安、久保建英、南野拓実(シャドー)、上田綺世(1トップ)の5人のなかからひとり削ることは簡単な話ではないと森保監督は言っているわけだ。
これに、今回は負傷で招集を辞退した守田英正に代わって守備的MFとしてプレーした鎌田大地も、2シャドーの一角として久保、南野と遜色ない存在と言えるだろう。この6人を4人に絞るのは簡単ではないのかもしれない。
アメリカ戦を前に練習で選手たちに指示を与える森保一日本代表監督 photo by Kazuhito Yamada/Kaz Photography だがその時、森保監督が浮かべた難しそうな表情を見ていると愕然とした。ワールドカップまで9カ月、まだそんなことで頭を痛めているのかと呆れたのだ。
問われているのは選択肢、選手起用のパターンの多さである。削るとか、外すとか、まずその考え方に違和感を覚える。確かに席は4つしかない。だがいまの時代、それぞれのポジションはいずれも途中交代が当たり前だ。
ワールドカップ本大会は試合が絶え間なくなく続く。32チームで争われる決勝トーナメント1回戦は4試合目だ。優勝を掲げる前に目標としていたベスト8以上となれば、6試合以上戦うことを意味する。
同じメンバーでは戦えない。これが大前提になる。6人から削られたふたりは、後半途中からの出場で何の問題もない。あるいは次の試合のスタメンでもいい。その考え方でいけば、残された選択肢がふたりでは、むしろ足りないのだ。そんなことで難しそうな顔をされても、とても相槌を打つ気にはなれないのである。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

