迷走する日本が、同じ島国アイスランドのサッカー強化に学ぶべきこと (3ページ目)

  • 井川洋一●文text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 そして、彼らはUEFAライセンスを持った指導者からの手ほどきも受けられる。国内でコーチ免許を取得できるようになったことで、ユースチームの監督を務められるB級ライセンス保持者が急増。国民の約800人あたりに1人の指導者がいるという驚異的な割合だ。

「選手の育成では8〜12歳の指導が最も重要になる。我々はこの世代を教える人間が適切な指導法を学ぶことが大切だと考え、実行に移した」と、アイスランド協会のグラスルーツ(普及)・ディレクター、ダグル・ダグビャルトソンは話す。

 その恩恵を受けた最初の世代が、2011年のU-21欧州選手権に初出場したグンナルソンやシグルズソンたちだ。その戦いぶりを見た、元スウェーデン代表監督のラーシュ・ラーゲルベックは「興味深いチームだった。何より団結力が素晴らしかった」と感銘を受け、その年の10月から2016年7月までチームを指揮。現在69歳の指導者は豊かな経験をチームに授け、EURO2016でベスト8に進出するまでの成長を見届けた。

 2013年から、ラーゲルベックと共同でチームを率いていたハルグリムソンがEURO2016後に独り立ちし、クロアチア、ウクライナ、トルコと同組の欧州予選で最も実力が拮抗したグループIを首位通過。ついに世界の桧舞台への扉を開いた。

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