2017.12.20

迷走する日本が、同じ島国アイスランドの
サッカー強化に学ぶべきこと

  • 井川洋一●文text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 桶狭間の戦いに備える織田家の心境にも近いだろうか。2018年6月のロシアW杯に初出場するアイスランドは、大会史上最も人口の少ない国(約33万人)だ。新たな歴史の舞台となるロシア大会ではグループDに入り、人の数では到底及ばないアルゼンチンやナイジェリアといった大国に挑む。

EURO2016でイングランドを撃破し、ベスト8に進出したアイスランド 信長の率いた少数の精鋭たちが今川家の大軍を破ったように、奇襲は成功するのか。主将アーロン・グンナルソンのロングスローという飛び道具や、ギルフィ・シグルズソンの異才で相手守備陣に風穴を空け、守っては氷河のような厚い堅陣を築く。

 戦国時代に勇猛な武将たちを鼓舞した陣太鼓は、”バイキング・クラップ”に置き換えられようか。EURO2016(フランス)でフットボールファンの間に広まった、音も振りも大きな、統一された手拍子だ。この競技にマグマのような熱を捧げるバイキングの末裔(まつえい)たちは、腹の底から重低音を響かせ、目にも壮観な応援で進化した代表チームをサポートする。

「(EURO2016の)オーストリア戦後にファンと一緒にやることを決めた。その前の試合でも手拍子を聞いていたし、グループステージ突破をサポーターと共に祝うには最適なものだと思ったから。国、ファン、選手、スタッフ全員にとってスペシャルなものだ」

 キャプテンのグンナルソンは『FIFA.com』で今年1月に公開された『アイスランドの成功の秘密』というドキュメンタリー映像でそう語っている。EURO2016のラウンド16でイングランドを倒し、初出場で8強の壮挙を果たして帰国した後にも、大勢の国民と共に頭上で手を叩いた。