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2部で5位からプレミアへ。
ハダースフィールドの夢を支える無名選手 (5ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 しかし、この禁断のフレーズは、ハダースフィールドのファンの心を見事につかんだ。すばらしいシーズンが、すばらしいキャッチフレーズを生んだ。数日たってクラブのメガストア(「メガ=巨大な」と名づけたのが皮肉に思えるショップだ)は、ヘフェレの愛称を使った「ヘフの夢」Tシャツを売り出した。

 美しく描かれたヘフェレの顔の下に、「ヘフの夢」というフレーズが書かれている。いくつかのクラブを渡り歩き、ワグナー監督がドイツの下部リーグから引っ張ってきた多くの選手のひとりであるヘフェレは、まさに彼自身の夢を実際に経験していた。

 ヘフェレがディナモ・ドレスデンでドイツ3部リーグ優勝を果たしたばかりのころ、ハダースフィールドから連絡が来た。「ハダースフィールド・タウンがどこにあって、どんなクラブなのか知っていたと言ったら、嘘になる」と、彼は言う。

 しかしヘフェレは、練習場があるカナルサイドでのファンとの交流を楽しみ、彼らがクラブに過大な期待を寄せているわけではないと感じた。「クラブのグッズを身に着けているような人は、町にはそれほど多くない。選手は静かに練習に励む。週末になれば、ファンはスタジアムにやって来る」

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