2部で5位からプレミアへ。ハダースフィールドの夢を支える無名選手
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ハダースフィールドの物語(2)
イングランド北部のハダースフィールド。この平凡な町のフットボールクラブが今シーズン、2部リーグに相当するチャンピオンシップ5位からプレミアリーグ初昇格を果たした。未知の世界での戦いに、クラブ関係者やファンは何を思っているのか。シリーズ第2回は、クラブの会長と選手にスポットを当てる。
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ハダースフィールドの人気者、ドイツ人DFミヒャエル・ヘフェレ photo by Getty Images[会長]
ディーン・ホイルは「絶滅危惧種」に近い存在だ。地元のプレミアリーグクラブを運営しながら、そのクラブのファンなのだから。
ホイルはハダースフィールドに近いヘックモンドワイクに生まれた。母親はシングルマザーだった。
「ハダースフィールドを応援しはじめたのは1979年だと思う」と、ホイルは言う。「労働者層の住む地域の風景を、よく覚えている。ハダースフィールドは古い工場町で、クラブはその象徴だったのだろう。栄光の日々は過去のものになっていた」
やがて彼は妻のジャネットとともに、グリーティングカードを扱うカード・ファクトリー社を設立。2010年、ホイルが42歳のとき、この会社を4億ポンド(現在のレートで約560億円)で売却した。サンデー・タイムズ紙の長者番付によれば、現在の夫妻の資産額は2億8000万ポンド(約390億円)だ。
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