コンテ監督の流儀。殺人的トレーニングで代表チームも戦術は高まる (3ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi
  • photo by Getty Images

――監督はユベントス時代「過酷なトレーニングを繰り返した」といつも話しています。具体的に、半ば殺人的とも言われるトレーニングの中身はどのようなものなのでしょう? また、ユーロでなぜイタリア代表はあれだけ堅い守備を可能にできたのでしょう?

 GKブッフォン、DFアンドレア・バルツァッリとボヌッチ、そしてジョルジョ・キエッリーニからなる守備ラインの3人。このユベントス守備陣を指して"イタリアの守備"と言われるが、それは誤りだ。

 最終ラインだけの力ではなく、より重要なのは「守備の局面」に見るチーム全体11人の動き、その連係の質だ。私は一貫してこの「守備における質の向上」に努めてきた。

 ボールを持つ時間が長ければ守備に綻(ほころ)びを露呈する機会は少なくて済む。一方、いざ相手にボールを持たれれば敵陣の深く、センターラインから30~40mの位置までプレスに行く。もちろんチーム全体の重心をギリギリまで高く押し上げる。

 しかし、この戦い方は容易ではない。何よりその継続は選手たちに多大な負荷をかける。「選手一人ひとりの正確なポジショニング」と「味方同士の適正な距離」「90分間途切れない集中力」。ここに綻びを生じさせるリスクと常に背中合わせだからだ。長いシーズンで蓄積された疲労と暑さも考慮しなければならない。

 だが、イタリアは、スペイン戦はもちろん、すべての試合で質を落とすことがなかった。

 コベルチャーノとモンペリエ(イタリア代表の合宿地)でのトレーニングが功を奏したと言える。ある程度まとまった時間があれば、代表チームであってもクラブレベルの高度な戦術を実践できるということだ。だからこそ、昨シーズン中に求めた短期合宿ができなかったことを今でも悔やんでいる。

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