小国ウェールズが下剋上で4強。なぜ強豪ベルギーに勝てたのか? (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Hara Masashi

 この日のウェールズは、失礼ながら、これが本当にウェールズなのかと見紛うほど、パスワークが冴えていたのは確かだ。

 ベルギーの守備網が生むわずかなスペースに、MFラムジー、ジョー・アレン、ジョー・レドリーらがうまく入り込んでパスを受けるところまではともかく、そこでのボールコントロールにほとんどミスがないのは驚きだった。

 ウェールズはスムーズにボールを縦に出し入れし、勝ちパターンにハマっているはずのベルギーを混乱に陥れた。もはやウェールズは、MFガレス・ベイルだけに頼るチームではなくなっていた。

 こうした大舞台で試合を重ねるごとに自信を得て、強くなっていくチームというのは珍しくないが、今大会のウェールズがまさにそれだ。

 ウェールズの選手たちはお世辞にも技術が高いとはいえず、大会当初の戦いぶりを見る限り、それほどボールは保持できず、少ないチャンスを生かすしか勝つ可能性がないチームだった。事実、最初の2試合で挙げた3得点のうち、2点はベイルがFKを直接決めたものだ。

 ところが、今のウェールズはベルギーを相手にしても堂々とパスをつなぎ、落ち着いて攻撃を組み立てることができる。もちろん、ベイルというワールドクラスのアタッカーが、要所でアクセントになっているのは間違いないが、大会当初と比べれば、背番号11への依存度は明らかに下がっている。

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