小国ウェールズが下剋上で4強。なぜ強豪ベルギーに勝てたのか?

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Hara Masashi

 ユーロ2016準々決勝。決勝トーナメント1回戦でハンガリーに4-0と大勝していたベルギーが、ウェールズに1-3で敗れた。

 ベルギーは、前線にこそ豪華タレントが揃うものの、ことディフェンスに関してはかなり脆い。優勝候補と呼べる強さを、本当に備えているのかどうか疑わしいということは、これまでの試合でも指摘してきた通りだ。

 どんなに派手な勝ち方をしていても、その強さがどうも信用できなかった。

 だからこそ、ウェールズのようにしぶとく、粘り強く戦うチームに敗れたこと自体に、それほどの驚きはない。

両チームの攻撃の中核、ベルギーのアザール(写真左)とウェールズのベイル両チームの攻撃の中核、ベルギーのアザール(写真左)とウェールズのベイル だが、この試合に関して少々意外な印象を受けるのは、ベルギーが90分間、自分たちのよさを出せないまま敗れたわけではないからだ。それどころか、ベルギーは「いつもの勝ちパターン」にハマった試合をしながら、敗れたのだ。

 ベルギーはハンガリー戦同様、立ち上がりから攻勢に出て、ウェールズに対して圧力をかける戦い方に出た。7分にはFWロメル・ルカクのクロスから、MFヤニック・フェレイラ・カラスコ、DFトーマス・ムニエ、MFエデン・アザールが立て続けに3本の際どいシュートを放つなど、試合序盤で一気に勝負を決めてしまおうかという攻撃には、かなりの迫力があった。

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