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本物のポゼッション。ユーロ優勝候補スペインと他国の差はどこか? (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Mutsu Kawamori

 スペインは決して相手の表でパスを回すだけでなく、ショートパスを縦に出し入れしながら、常に背中を取っている。だからこそ、あれだけ多くペナルティエリア、あるいはバイタルエリアに侵入でき、数多くのシュートチャンスを作れるのだ。

 なかでもMFアンドレス・イニエスタのセンスは、さすがと言うしかない。スペインにはテクニックに優れた選手が揃っているとはいえ、最もゴールに近づけるパスを選んで、常に狙っている(しかも、実際にそれを出せる)という点で、彼の才能はスペインのなかでも抜きん出ていた。

 だからこそ、もちろん、試合が終わった今となっては結果論にすぎないが、いずれはどこかで点が入るだろうと思いながら試合を見ていた。

 そして、実際にそうなった。それほどスペインはうまく攻めていた(後半のなかばで、相手守備ブロックの中にパスを入れられなくなった結果、ボールの失い方が悪くなり、何度かカウンターを受けた時間帯だけはちょっと危うかったが)。

 グループリーグ初戦。優勝候補の一角と目されるスペインは、チェコを相手に1-0で勝利した。

 奪った得点はわずかに1。スコアのうえでは辛勝である。スペインに対し、冷ややかな視線を送る向きにとっては、「ほら見たことか」と、したり顔で見ていられる試合展開だったに違いない。

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